T様よりぺもの情報と園館情報をいただきました(^○^)!!

2012 年 9 月 18 日 火曜日

まずは、T様からいただいたメールをご覧下さいませ_(._.)_!!

上田先生

暑い日が続きますがお元気なようでなによりです。
ぺもの情報と水族館情報二件です。

コレクターの間では常識なのかもしれませんが、イッタラのガラスの置物のbirdsというシリーズでペンギンを発見しました。
添付の写真です。
イッタラのガラスの置物のbirds
イッタラは食器しか知らなかったので驚きました。

これは新江ノ島水族館(えのすい)の公式Twitterで知りました。
新江ノ島水族館のフンボルトの家系図です。
個体の名前とフリッパ―バンドによる見分け方がイラストで示されています。
 Twitter / enosui_com: 繁殖と1羽1羽の多様性のために、遺伝的なことの配慮も …
遺伝的多様性についても元の公式ブログで紹介されています。
 2012/09/12 生息数・・・多いと思いますか?少ないと思いますか? | 新江ノ島水族館
これは確かtwitterで面白記事として流れてきたブログです。
 おたる (webやぎの目)
これをみると今も動物園や水族館で「芸を仕込む」のはなぜだろうと思います。

T様、いつも貴重な情報をお知らせいただき、本当にありがとうございます_(._.)_!!ぺものは次々にいろいろなものが出現しますね(^○^)!!これからは、「冬=クリスマスペンギン・シーズン」に突入していきます。コレクターとしては、気が休まる暇もなく連続攻撃を受けている状態です(~_~;)(汗)!!マニアの皆様、どうかお大事に_(._.)_!!

さて…、お知らせいただいた園館情報ですが、これらについては、少し注釈が必要だと思います。

新江ノ島水族館に限らず、ペンギンの血統・個体管理につきましては、特に日本動物園水族館協会の専門部会を中心に、協会所属の施設に関して、過去20年間以上にわたって様々な調査や研究が実施され、血統登録台帳の整備や各種の調整作業が行われてきました。ペンギン会議では、23年前から、特にフンボルトペンギンについて、このような管理体勢の必要性を訴え、飼育下での様々な課題を克服できるよう、各種の会合や生息地調査、技術開発等を継続的に実施してきました。

各施設では、この基本的な方針に基づき、各々独自の工夫を凝らしながら、ペンギンの飼育環境・飼育技術の向上に努め、血統・個体管理を発展させてきたのです。ですから、ペンギンを飼育・展示している園館は、基本的には全て、T様がご指摘下さった新江ノ島水族館のような「管理システム」が整備されているのです。ただし…、そういうことを、どのように解説しているかについては、園館によってかなり温度差があるようですが…(~_~;)!?

さて…、野生のペンギンの個体数に関しても、ちょっと注意すべき点があります。まず、全ての種類が毎年細かく数えられているわけではないという点です。野生のペンギンたちは、かなり広範囲に分布しています。これらを毎年のように丹念に数えるのは、事実上不可能です。だから、種類によっては何十年も前の古いデータを使わざるを得ないのが実情です。

また、フンボルトペンギンなど特に個体数が減少し絶滅の危険が高まっている種については、成鳥だけでなく亜成鳥(繁殖能力のない若鳥)も加えた個体数を発表するようにしています。逆に、マカロニペンギンやアデリーペンギンのように個体数が安定している種については、亜成鳥を含まず「繁殖つがいの数」のみを個体数として発表しています。

したがって、新江ノ島水族館のサイトにある「フンボルトペンギンの個体数=4〜5万羽」には亜成鳥が含まれていることをご承知おき下さい。実際の「繁殖能力のあるつがいの数」は15000〜18000つがいくらいですから、フンボルトペンギンは決して個体数が多いとは言えないのです。

さらに、フンボルトペンギンやマゼランペンギンは、繁殖地周辺の海域の餌生物の増減に呼応して、繁殖地を大胆に移動することが一般的です。ですから、「ペルーでは減少しているがチリでは増加している」という推測は、個体数の全体的増加を意味しているのではなく、単なる移動である可能性が高いのです。

ペンギン会議顧問であり「フンボルトペンギン属研究の第一人者」でもあるワシントン大学のディー・ボースマ博士によれば、フンボルトペンギンもマゼランペンギンも、中国などによる南米沿岸での大規模かつ無秩序なアンチョビ(カタクチイワシ)の大量買いつけによって、餌生物が激減し極めて深刻な餌不足に追い込まれているようです。中国などは、アンチョビをブタなどの飼料として大量に購入しているとのことです。したがって、南米の海洋生物や生態系全体に危機が迫っているのです。ペンギンの減少は、その一例に過ぎません。

さて…、次に「ペンギンのショー」についても、ちょっと解説しておきたいと思います。

ご指摘の「小樽水族館のペンギンショー」は、園館ファン特にペンギンファンの間では既にかなり有名なものです。これは、実際にはペンギンを全く(あるいはほとんど)トレーニングしないで行われています。このショーの見所は、なんといっても「語り口の楽しさ」なんです。だから、このショーを引き合いに出して「ペンギンを訓練したりなにか芸を仕込むことはできない」あるいは「ペンギンはバカな鳥だ」と評する方が若干いらっしゃるようですが、それは間違いです。

例えば…、カドリードミニオン(熊本県)のフンボルトペンギンのショーをご覧になりましたか?あるいは、長崎ペンギン水族館の「ペンギンビーチ」でのフンボルトペンギンたちの動きをご覧になったでしょうか?

適切なタイミングをとらえ、適切な技法を駆使すればペンギンをトレーニングすることは可能です。海外の例で言えば、古くはホノルル水族館やアメリカのいくつかの施設(特にラスベガス)での先例も多数あります。

ただし…、そのショーがなんのために行われるか?…という点に注意しなければなりません。そのようなトレーニングを施し、観客に一定の行動を明確に見せることによって、ペンギンの運動機能や行動上の特性をより解りやすくより深く理解させられるか否か?つまり、「教育・普及活動における明確な目的や効果」が問われるのです。また、トレーニングには「順馴訓練」が伴いますから、これを個体の健康管理(体重測定や採血)等に応用できるというメリットもあります。

まとめると、こういうことになります。ペンギンショーは、個々の園館によって、その「形式や狙い」がいろいろある、ということ。したがって、ショーを観ながら、ペンギンの動きや解説にどんな特徴があるのか、考えながらご覧になることをお薦め致します!!もし、疑問を抱かれたら、すぐに担当者に質問されてはいかがでしょうか?そこから、さらに新しい発見や展開があるかもしれませんよ(^o^)v!!

コメント / トラックバック 1 件

  1. T より:

    丁寧な注釈をありがとうございます。

    ペンギンに興味を持った人なら
    小樽の水族館はユーモアで「かわいくてもペットではなく野生動物なのです」と言っていると分かるのですが、さざなみくんの一連の報道でも「名前を付けないのはかわいそう」「野生動物なら園から逃げたがっていて当然」という認識が常識(圧倒的多数)であるのにももやもやしていました。

    ペンギンショーの意義も先生の解説を頂いて直接担当者に伺うのが一番と分かりました。個体になまえを与えないで感情移入を避けるが正解ではなくあくまで一つの園館の考えであるのですね。

コメントをどうぞ

ページトップへ