あの時から、何度も同じことを書いてきたと思う。世の中には、「できるだけ早くやらねばならないこと」がある。その最も大切な例が「苦しんでいる同胞を救うこと」ではないか?
私が「ペンギンの保全・救護活動」を本格的に始めてからそろそろ25年目になる。保全活動は息の長い活動だ。場合によっては、何世代もかけて引き継いでいかねばならないプロジェクトになる。それは、たとえばこの「石割桜」のように、百年以上もかけて辛抱強く堅い岩のすき間に根をはらなければならない営みに似ている。
しかし、救護活動は違う。この場合は「タイミングを的確にとらえる」ことが最も大切なポイントだ。救護とは、事実眼前で生死の境に直面して苦しんでいる生き物を、できるだけ迅速に安全な状態や環境の中に確保することだ。だから、タイミングの読み間違いや遅延・遅滞は致命的な失敗につながる。
もちろん拙速はいけない。なんでも「急いでやればいい」というものではない。しかし、眼前で苦しんでいる同胞を放置したまま、二度目の冬を迎えるという事態は、怠慢以外のなにものでもない。
これも何回も記したが、自助・互助は尽くされている。あとは本格的な「公助」が始動するのを待つばかりだ。民の力には限界がある。二度目の冬を、被災地の方々が温かい気持ちで迎えることができるよう、「公」はそろそろ重く無神経な対応をあらためるべきだ。