まずは、株式会社ヴァイスヴァーサの平川様から頂戴したメール(最新サイト情報と平川様のご意見)をご覧下さいm(__)m!!:
「◆英国の動物園でペンギンに抗鬱剤: The Voice of Russia
http://japanese.ruvr.ru/2014_02_09/128488583/内容があまりにも…胸が苦しくなる内容だったので、居てもたってもいられずご連絡しております。
抗鬱剤ももちろんですが、記事最後の「効かなかったら最後の手段に出る」というのが…。野生のコたちが天敵にやられるとか何らかの事情で命を落とすのは仕方がないですし、そういうものだと思っています。
でも動物園や水族館にいるコたちは、私たち人間ができる限りのことをしてあげなければならないのではと思います。もう少し様子を見るとか、何らかの方法で環境を変えてあげるとか、何か手段はないものなのでしょうか。」
平川様、いつも大変お世話になり、ありがとうございますm(__)m!!また、今回は、貴重な「サイト情報」とご意見を頂戴し本当にありがとうございました_(._.)_!!
平川様ご指摘の通り、確かにショッキングな情報ですね(~_~;)(汗)!!
しかし、この情報は、少し時間をかけて慎重に分析しなければならない「不正確な情報」ではないか?…と考えております。
まずは、この情報につけられた写真です。これが、問題になっている「スカボロー動物園」のペンギンだとすれば、種類が違うのではないか?…と思います。写真のペンギンはおそらくマゼランペンギンですが、記事の中ではフンボルトペンギンということになっています。
ここから、さらに第2の疑問が生まれます。仮に、写真が間違いであり記事中の「フンボルトペンギン」が正しいのならば、これは何重もの意味で大変な事件です!!フンボルトペンギンはジャイアントパンダと同じく、いわゆる「ワシントン条約」の附属書Ⅰに記載されています。国際的に最も注目度が高い「絶滅の危機に瀕した保護動物」なのです。従って、フンボルトペンギンの商業取り引き(金銭による移動)は厳しく禁じられていますし、このペンギンの国際的な移動には極めて煩雑で難しい手続きが必要なのです。この基本的事実を知らない動物園関係者は、まず存在しないでしょう。…となれば、スカボロー動物園がフンボルトペンギンをそんなに簡単に「原産国」がある南米から「入手する」ことは不可能だという疑問が浮かぶはずです。
現在、イギリスのスカボロー動物園が南米からフンボルトペンギンを入手した…という事実を、私は知りませんし、確認してもおりません。もし、スカボロー動物園がフンボルトペンギンを南米から入手したのならば、その事実そのものが、まず「大ニュース」となるはずです。従って、この記事にある「フンボルトペンギン」という記載は間違いであり、実際には写真にある通り「スカボロー動物園のペンギンはマゼランペンギン」ではないか?…と考えております。
さらに、普通、どんな事情があるのかわかりませんが、こういう症状の場合、すぐにペンギンに抗鬱剤を投与するということはしないと思います。もし、今回のように「南米から最近移動してきたマゼランペンギンが元気がない」というのであれば、普通は「鬱」ではなくそれ以外の病気や原因の可能性を疑います。例えば、アスペルギルス、鳥マラリア、寄生虫等です。一般的に、南米からペンギンを移動させた場合、次のようなリスクがあります。北半球と南半球の季節の違い(この時期ですと北半球は真冬・南半球は真夏:大きな温度差)による体力低下。移動に伴う「時差の克服」が不十分な場合も、体力低下が見られます。過去の例で言えば、換羽異常、食欲不振、行動鈍化、開口呼吸、体重減少等が報告されています。
日本の例では、南半球から移動してきたペンギンたちが日本の飼育環境に適応して普通に生活したり繁殖したりするのには、短くて1年、長ければ数年かかるというのが、いわば「常識」です。だから、スカボロー動物園のペンギンのような場合は、すぐに特定の薬剤を投与するのではなく、気温・湿度・餌の種類や量等に注意しながら、時間をかけて「順馴(新しい環境に順応させる)」していくことが肝要なのです。
最後に、「抗鬱剤」が効かない場合は「最後の手段」とありますが…、これは「南米に戻す」とか「ほかの動物園に移動する」ということであって、「処分する(殺す)」ということではないと考えます。イギリスは、世界で一二を争うほど「動物の福祉」や「動物の権利」に厳格な国です。南米から入手したペンギンが元気がないというだけの理由で、理不尽にその命を絶つなどという野蛮なことが許される社会や国民性ではないのです。
というわけで、私は、この記事そのものの正確さや、品質をかなり疑っております!!もし、できましたら、この件に関する続報を教えていただければ幸いです!!
既にYahoo Newsにもこの話題が出ていますね。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140209-00000045-jij_afp-int
検索すると、英Gardian紙のブログがネタ元のようです。
http://www.theguardian.com/world/the-northerner/2014/feb/06/penguins-prescribed-antidepressants-scarborough-rain
スカボロー動物園ではなく、Sea Life Centre Scarborough の話題で、
curatorのLyndsey Crawford さんが地元紙のGuzelian news agency
に語ったという内容になっていますね。
抗鬱剤として何が投与されたのかについてはよくわかりませんね。