毎年、何冊くらいの「水族館本」が出ているんでしょうか?雑誌の類いも含めると、かなりの点数になるのではないでしょうか?
水族館と出版物とを有機的かつ意識的に結びつけたのは、最近では中村元さんではないか?…と思います。もちろん、東海大学系統の啓蒙書や専門書は、以前から著名で、水族館学の世界では基本的文献として理解され利用されてきた…という経緯があります。
しかし、よりソフトで身近な「水族館本」として、写真集やイラストブック、あるいは簡易なペーパーバックシリーズの中に、新しい分野が成立してきたのは、つい最近のことだと考えています。水族館情報の提供手法としては、出版物だけでなく、テレビ、ラジオ、SNS、トークショー等々、多様な舞台が利用されるようになってきました。
かつては「暇ネタ」扱いだった動物園や水族館情報は、テレビの世界では「定例化」が進み、毎日のように何らかの話題が提供されるようになりました。いわゆるバラエティー番組では、水族館訪問企画が定番化しています。
しかし、水族館の本当の姿や、そこで働くスタッフの実情をリアルにわかりやすく伝える良質の媒体は、それほど多くありません。ほとんどは、「観客を水族館に誘う営業」目的の出版物であったり、水族館運用のマニュアル本、あるいはビジネス本であったりするのが実態です。
様々な魅力的な生き物と出会う場=水族館には、それを支えている情熱あふれる多くのスタッフがいます。この本は、注目を浴びる代表的都市型水族館=すみだ水族館の裏方として活躍する飼育担当者の姿を、わかりやすく具体的に紹介しています。
ふんだんに登場するマゼランペンギンたちの暮らしぶりも、お楽しみ下さいませ!!