震災後2ヶ月を間近にひかえて考えること

2011 年 5 月 8 日 日曜日

間もなく、あの3月11日から丸々2ヶ月が経過します。
東北も、ようやく本格的な春を迎え、厳しい寒さの試練を乗り越えられた皆様が、生活の復旧に全力をあげていらっしゃることと存じます。

すでに、何回か振り返って参りましたが、このサイトは、震災発生当日から、関東〜東北の方々の安否情報を交換する掲示板的役割を果たして参りました。
それは、私の知人やペンギン関係、動物園・水族館関係でお世話になり、日頃行動を共にし、連絡をとりあっている方々が、数多く被災され、互いに安否を確認し、助け合う必要があったからです。

その「掲示板的活動」を通じて、さらに多くの善意の方々にお力添えいただきながら、やがて、「復旧活動全般・支援活動全般」に関するお手伝い、情報交換の場を、ささやかながら提供して参りました。

例えば、東京大学大気海洋研究所の佐藤克文先生が続けていらっしゃる「三陸の皆さんを元気づける募金」を、ご紹介して参りました。
佐藤先生の最近のブログによれば、募金累計額は4月28日現在で448万円に達し、その資金で、先生は、大槌町の小学生に34台の自転車を寄贈したり、新船を必要とされている漁師さんに数十万円〜100万円を送金されたりしたそうです。
一番最近のブログ(5月6日)では、こんなふうに述べていらっしゃいます。

「普通に物や現金を送るだけではなく、何か私たちにしかできない形で三陸の皆さん、特に子供たちを元気づけられないかといったことを考え始めました。」

佐藤先生の募金活動・支援活動は、まだまだ続きます!皆様も、息の長いご支援を、何卒よろしくお願い申し上げます!!

また、震災に加えて原発問題にも苦しんでこられた斎藤美香子さんも、想像を絶する苦しさを克服されながら、ようやく新しい住居に落ち着かれ、今シーズンの「フォークランドツアー」のメンバーを確定されたとのことです。

また、このサイトでは、私が代表を勤める「マリンピアクラブ」の支援活動として、「マリンピア松島水族館応援募金」を展開して参りました。
おかげさまで、4月28日までに34万円を超えるご寄付をいただき、その内30万円を、5月2日にマリンピア松島水族館に「第1回寄附」として、お渡しして参りました。
なお、この募金活動は、8月末日まで継続して参りますので、引続き皆様のご協力をお願い申し上げます!

さて、5月初旬に初めて東北地方を訪問し、福島県や宮城県の方々のお話を直にうかがってみて感じたことは、この支援活動はまだまだ甘い、まだまだ続けなければならない、ということです。
今回の震災からの復旧や復興が「長期戦、持久戦」になるということは、すでに震災後1週間以内の段階から書いておりましたし、自分でも理解していたつもりでした。

しかし、例えばマリンピアクラブの仲間に仙台から松島へと案内していただきながら、うかがったお話、目にした光景から実感したのは、「自分の考えと決意の甘さ」でした。
あの高速道路からの風景、仙石線の状況は、おそらく一生忘れられないものになるでしょう。

かつて、あの阪神淡路大震災の時、数日後、祖母の葬儀のために現地を歩いた時に感じた、強烈で一種異様な「喪失感」を、仙台と松島で、また味わいました。
見慣れた風景がそこにない!あるべき場所にあるべきものがない!言葉にすればそれだけのことです。しかし、そこにかつて何回も身を置き、なれ親しんだ者にしかわからない、「あれっ!?」という浮游感から逃れる術が見つからないのです。

普段、関東に住んでいた私ですらそうなのですから、その場を生活の舞台とされていらっしゃる方々は、どんなにか動揺し、不安な毎日を過ごしていらっしゃるか…。私には、想像することすらできません。

終わらぬ原発の恐怖、余震、再度の大地震の恐怖、そしてあの大津波の恐怖。それに加えて、生活復旧、立て直しの苦痛。こういうものが、一斉にしかも一時の休みもなくのしかかってくる毎日。

同胞として、仲間として、これまで東北の恩恵に一方的に浴してきた関東の人間として、今、私は何をなすべきなのか?深く深く考え、知恵と勇気と行動力を絞り出していかなければならない!そんな風に考える毎日です。

簡単に答えは出ないでしょうし、簡単に問題は解決しないでしょう。
しかし、何もやらない、動かないという姿勢では、「苦しみ」に嘲笑われるばかりです。己の限界を見つめつつ、しかし、ちょっとは背伸びしてでも、なんとかしよう!元気を出そう!!そう考えております。

また、8月までに何回かマリンピアを訪問し、スタッフの皆様のお手伝いをしていきたい。そう考えております。

皆様の、継続的なご支援、お力添えを、何卒よろしくお願い申し上げます!!

マリンピアクラブ、ペンギン会議 上田一生

コメント / トラックバック 7 件

  1. 斎藤美香子 より:

    先生、この度の震災発生以来、何かと気にかけて頂き、本当にありがとうございました。
    ここでも何度か取り上げて頂きながら、なかなか御礼申し上げられず、大変失礼いたしました。

    両親の新天地への引越しも漸く終わりました。高齢の両親には何よりも時間を大切に生きて欲しいと思っています。原発関連で一喜一憂しながら避難所で過ごすようなことにならずに、新天地でやりなおそうという決意を、早い段階で両親がしてくれたことに救われました。

    フォークランドツアーはおかげさまで、あっという間に参加申し込み枠が埋まりました。参加の皆様もさまざまな形で震災の影響を受けていらっしゃるようですが、一様に、「フォークランドを励みに頑張る」とおっしゃってくださっているので、企画して本当に良かったと思っています。

    今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

  2. adelie より:

    こんばんは。
    阪神の時も今回も、被災者のような、そうではないような、という状態でした。
    阪神の時は、私自身(京都市にいました)も大阪府北部の実家も無事でしたが、数キロ離れたところに断層があり、かなり被害はひどかったようでした・・・。
    今回は東京都内におり、帰宅難民にもならずにすみました。

    先月末、初めての被災地訪問で、茨城県日立市の日立かみね動物園を訪問しました(よろしければ拙宅ご確認ください)。
    園内には家族連れが多く、日常を取り戻している感がありましたが、日立市も、特に沿岸部の家屋は被害がひどいようでした。

    今回の震災、東北のみならず、茨城県、栃木県、千葉県などの被害も大きかったということで、常磐線・北茨城市の車窓は言葉も出ない状況でした。
    また、(ペンギンは不在ですが)いわき市のアクアマリンふくしまはまだ再開まで長くかかりそうとのこと。
    いわき駅の周辺も、地震の爪痕がくっきりと残っていましたが、前向きに「被災地を応援しよう!」という案内がそこかしこにありました。いわき市も被害大きかったにもかかわらず・・・。

    上田先生のおっしゃるとおり、今後、継続的な支援が必要な箇所が多く存在すると思います。
    私に出来ることは何かを考えつつ、毎日を過ごしていきたいと思います。
    (今、机の上には福島県のお酒があります(^_^;)。関西では宮城県のお酒を味わってきました(^_^;))

  3. 上田一生 より:

    >斎藤美香子 様
    いつも、コメントをありがとうございますm(__)m!!
    「インパ」された時のレポート、拝見致しました(^o^)/また、「フォークランドの爽やかな風」を、心から楽しみにしております(^○^)

    >adelie 様
    貴重なコメントをありがとうございますm(__)m!!
    「かみね動物園」の様子は、先日、テレビでも報道されていましたね。今回の震災は、被害が非常に広範囲にわたり、また被害の内容も複雑なため、それを安易にひとくくりに語れないですね。
    従って、支援方法も、画一的なものでは、効果が上がらないと思います。

    一方、私たち、非力な庶民にできることは、きめ細かく息の長い支援だとも考えております。
    一時の高揚感や興奮だけをエネルギーとして動くのではなく、「飽きず、諦めず、挫けない活動」が必要なのではないでしょうか?

  4. とり より:

    震災からまもなく2ヶ月・・・そうですね。

    「もう2ヶ月も経った」のか、「まだ2ヶ月しか経っていないのか」かは、お一人お一人、それぞれのみなさんが置かれた立場で違うのだろうとは思います。私は後者の1人です。

    世の中でもいろいろな報道がされていますが、私が危惧していることがあります。それは、現在進行形の出来事(例えば、福島第一原発の話)にはスポットが当たっていますが、まだまだ他にも被災した地域はあります。仙台だって、駅前はだいぶ元通りになってきていますが、津波で甚大な被害を受けた若林区などの状況は、私は関東ではしばらく見ていません。

    物資や金銭面での支援が継続的に必要なのに「熱が冷めてしまってきている」感がするのが、とてもまずい状況のような気がします。

    上田先生のサイトでは震災が過去のものにならないようにいろいろな情報が発信され、また多くのコメントが寄せられています。私も今月、マリンピア松島水族館には再度訪問させていただき、第2回の訪問記を書きたいと思っております。

    なお、上田先生にもお知恵を拝借したいので別途ご連絡いたしますが、とある方(今はまだここで公表できません、すみません)から「マリンピア松島水族館に支援をしたいので仲介をお願いしたい」とご相談をいただいております。その節は、どうぞよろしくお願いいたします。

  5. 上田一生 より:

    >とり 様
    いつも、コメントをありがとうございます!また、マリンピア松島水族館へのお力添えに感謝申し上げますm(__)m!!
    上田個人の携帯はご存じでしたか?このサイトのお問い合わせでも結構です。何かございましたら、ご連絡下さい(^o^)/

  6. ペンギン大好き女子中学生 より:

    女子中学生のかあちゃんです。
    私、東北を旅行した時、行く先々で出会う人たちに本当にやさしくしてもらったんです。
    芋煮会のイベントでお腹一杯、芋煮をごちそうになり、おまけに栗までお土産に・・・と頂いたんです。そうそう、ずんだ餅もごちそうになりました。

    秋の蔵王ではしゃぎ過ぎ最終のゴンドラに乗りそびれ途方に暮れていたところをひろって麓までトラックに乗せてくれたお兄さん・・・

    松島の旅館では、食べきれなかったデザートを「お部屋でごゆっくりどうぞ」とお皿に盛りつけてくれたんです。

    帰路、仙台空港への道路は渋滞していました。
    飛行機の出発が刻一刻と迫る中、運転手さんは「おじさんに任しときなよ」
    ・・・ってなかんじで無事、空港まで送り届けてくれました。
    でも、肝心の飛行機が欠航になちゃったんてす。

    私が、継続してできるのは小銭募金といった微々たるものです。
    でも、被災地のことを心にずっと留め置いていきたいと思っています。
    そして、また松島に行きたいです。
    マリンピアで、あれもこれも・・・とペンギングッズを買いたいな〜

  7. 上田一生 より:

    >ペンギン大好き女子中学生のお母ちゃん 様
    いつも母娘お二人での楽しく、貴重なコメントを、ありがとうございますm(__)m!!
    これまでいただいたコメントを総合すると、「お母ちゃん」さんは、ずいぶんいろいろな所を旅されたんですね!
    私も、東北には身内はもちろん、たくさん大切な友人がおり、楽しい思い出が一杯あります(^o^)/
    彼らは、私の印象では、全般に「言葉少な」ですが、想いは熱く、正義感が強い人々です(^○^)
    ぜひ!マリンピア松島水族館にお出かけ下さい(^○^)楽しいですよ!!

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