「Muffin」はラバでしたm(__)m!!〜お礼とご報告〜

2010 年 2 月 9 日 火曜日

今回の内容は、「ペンギン懺悔室」に書くべきか、「ぺもの図鑑番外編」とすべきか、散々迷いました。しかし、これはやはり「ペンギンまみれ」でご報告すべき内容だと思い、ここに記しています。

「ペンギンまみれ」はここのところ暗い話題(ペンギン盗難事件関連)が続きましたから、このあたりでちょっと楽しく変わった話題が欲しかったのです。ペンギンには、暗い、恐い、醜い話題は、あまり似つかわしくない。私は勝手にそう考えています。

さて、本題です。

1月29日(金)にアップした「ぺもの図鑑」遊び道具シリーズその2:カードゲームで、1950年代初めにイギリスで発売された『Muffin』というゲームを紹介しました。

カードケースのわきに「The television star」とあり、箱の中にあるルールブックにも、「最近テレビで大人気の…」とあったため、「当時=1940年代末〜50年代初めのイギリスの人気人形劇番組」だと想像していました。この想像に大きな間違いはなかったのですが…。私の予想しなかった早さで、「Muffinの謎」が解けてきたのです!!

謎を解いて下さったのは、埼玉こども動物園園長の日橋一昭さんです。

日橋さんには、これまでにも大変お世話になってきました。拙著『ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ』(岩波書店)のあとがきにも記しましたが、ペンギンの博物画や動物園関係の話題や史料、文献の収集にあたり、ひとかたならぬお世話になりました。とにかく、日橋さんは、現代にあっては数少ない「博物学者」のお一人だと考えております。

その日橋さんから、私の携帯にメールが入りました。「Muffinはラバだよ」というご指摘でした。そこで、私は改めて辞書をひきなおし「mule」がラバだと確認したのです。おや?というのが、第一印象でした。「やはり動物のプロには人形の絵だけでラバだとわかるんだろうか?」とも考えました。

ちなみに、「muff」にも「muffle」にもラバという意味はありません。「muffin」には、焼き菓子やそれを作る調理器具の意味はあっても、ラバを直接指す意味はありません。ただ、「muff」には、ロバという言葉もそうであるように「へま、間抜け、とんま、腰抜け、弱虫、不器用者」という含意があります。これは、今回のテーマにとっても、非常に重要な意味をもっていますが、あとで触れることにしましょう。

さて、では「Muffin」はどうしてラバなんでしょうか?半分途方にくれていたところに、日橋さんからの第2報が入りました。

「YouTubeで動画が見られるよ」というのです。アクセス先は以下の通り。
http://www.youtube.com/watch?v=spQY2FbCUtM&NR=1

出てきましたよ!!当たり前ですが…。実は、私にとって、これが初めてのYouTubeでしたので、こんなに簡単に70年近く昔の「テレビ映像」が見られるとは、本当に大感激でした!!

そして、このアドレスで最初に出てくる番組タイトルが「Muffin the Mule-Muffin’s Aquarium Part1」なのです!!いやあ〜、「ラバのマフィン」とはっきり、堂々とタイトルで謳ってるじゃあありませんか!正しく、マフィンはラバだったんですねぇ!!日橋さん、畏れ入りました!!

詳しくは、皆さんも直接映像をご確認下さい。ちゃあんと「マカロニペンギンのPeregrine」も登場しますよ。人形は、糸で操る伝統的なスタイル。意外に小さく、40cmくらい。ピアノの上で、アネット・ミルズと掛け合いを演じます。

サイトには、2月4日時点で31件のコメントが寄せられています(全て英文)。それを丹念に読んでいくと、この番組がいかに人気があり、有名であったかがわかります。ちなみに★(星)は5つでした。再生回数は29000回以上です。

コメントの中に、「Peregrine」を「very creepy」と評している部分があって、興味をそそります。「ゾクゾクする」程度の意味でしょうが、本当に気味が悪いのではなく、「キモカワ」といった感じでしょうか?いずれにしても、ペンギンは非常に気に入られているようです。

ところで、先程、「muff」には「間抜け」等の意味があり、それが重要な意味を持っている、と指摘しました。

実は、ペンギンにも「間抜け、お人好し、のろま」等の意味があります。ケープペンギンやフンボルトペンギンには「ロバペンギン」という俗称があるのは皆さんもご承知の通り。これはこのペンギン達の鳴き声がロバのいななきに似ているからとする説と、これ等の種が人間にあっさり殺される愚かな生きものだという意味も込められているという説があります。

つまり「Muffin」の主人公達は、みな「道化者」だという設定なのです。
とはいえ、これは決してラバやペンギンを心底バカにしているからではないでしょう。親しみを込めて、このような表現にしたのだと思います。

さて、「Muffin」をめぐる時間旅行は、今回はここまでに致しましょう。あらためて日橋園長のご指摘、ご教示に感謝申し上げますm(__)m!!

「ぺもの図鑑」から、新しい「ペンギンイメージの変遷史」の一端が引っ張り出せたのではないかと思います。お楽しみいただけたでしょうか?

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