いわゆる「ぺもの」の増殖について、最近の日本の状況は尋常でないことを、このブログでは度々強調してきた。その判断は変わらない。
しかし、いまだに散見される紋切り型の表現=「日本人は世界一ペンギンが好き!」という結論には、賛成できない。その理由は、拙著『ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ』(岩波書店)でも、具体的事例をいくつもあげて述べたが、ここで、それ以降の観察事例を含め、改めて強調しておきたい。
皆様、このブログの2010年7〜8月の部分をよく確認していただきたい。昨年の夏、私はメルボルンにいた。そこで採集した「ぺもの」や、メルボルン水族館、メルボルン動物園、コガタペンギン保護区、街中のペンギン看板など…、いずれも、へたをすれば、現在の日本以上に「ペンギン係数」が高い状態だった。
そして今年、まだほんの一部しかご紹介していないが、ロンドンの街中や地方都市、リゾート地に溢れるペンギンたちの姿は、日本より多い。例えば、ナゼか「世界一ペンギン好きな日本」では上映されない映画『ポッパーさんのペンギン』は、イギリス各地で大人気だ!これに加えて、街中のポスターやショーウインドーにもペンギンが出現している。
まだ、オーストラリアとイギリスしか見ていないが、少なくとも「英語圏諸国」におけるペンギン人気は、この数年間、間違いなく高まっていると言える。最近の有名「ペンギンアニメーション映画」 は、ほとんどがアメリカ製だ。今年11月には、あの『ハッピーフィート2』が公開される!!残念ながら、これらに太刀打ちできる「日本製ペンギン映画」は、今のところない。だから再度言おう!!「日本人は世界一ペンギン好き」という認識は誤っている。独りよがりの狭い分析だ!!
むしろ、日本や英語圏諸国共に、ペンギン人気が今までになく高まりつつある。そう考えた方が現実に近い。大事なのは、では「ナゼそうなのか?」について考えること。そろそろ、「ペンギン好き国別対抗レース」から卒業しようではないか!
さて、話をまた引き戻してしまうようで恐縮だが、「日本人は世界一ペンギン好き」を立証する根拠としてよく引き合いに出されるのが「ペンギン飼育園館の数」。100ヵ所近い施設、実際はもっと多いような気がするが…、でペンギンが飼育・展示されているのだ。だから、私もかつて「日本はペンギン飼育大国」だ、という言い方をしてきた。ペンギン飼育施設の総数、飼育されているペンギンの個体数だけ見れば、たしかに1つの国として、日本の現状は尋常でない。
しかし、この現状は、本当に「日本人がペンギン好き」だから引き起こされたことなのだろうか?この問題については、いずれ機会を改めて詳しく分析し、述べていきたい。ここでは、簡単に結論だけ記すが、日本のペンギン飼育の現状は、利用者のニーズや要望、特に展示動物の種類に関する好き嫌いを、必ずしも直接に反映したものではない。そう考えている。
つまり、「ペンギンを展示するか否か」は、戦後何回か繰り返された「園館増設ブーム」の中で、いわゆる「動物地理学的展示」や「公立施設の定型志向」によって決断され、利用者のニーズに関わりなく、かなり機械的に選択され「園館の標準装備」となった。そう考えられるのだ。
だから、「日本人はペンギン好き」という状況は、園館におけるペンギン展示数が多いことの原因ではなく、逆に、その結果だった可能性が高い。…、再度言うが、この話題については場所を改めて考えるつもりだ。
ということで…、世の中の「ペンギン嗜好の動向」に、園館は、極めて大きな影響力を持っている、と思う。その影響力の大小を左右する最も重要なファクターは、言うまでもなく「展示施設そのものの善し悪し」だ。また、そこで展開される教育・普及活動の質も見落とすことはできない。
では、それだけで「園館のペンギンの魅力」を全て語ってよいか?…、というと、私は、ちょっと待て!と言いたい。
いくらステーキが食べたいからといって、肉だけ皿に盛りつけられても、果たしてどこまで食欲を満足させることができるだろう?食べ盛りの「体育会系肉食男子」は別として、普通は付け合わせとか、サイドメニューの善し悪しにもこだわるだろう。
売店は、園館のペンギン展示をひきたてる大切な脇役だと思う。
ペンギンのぬいぐるみを抱えたり、ペンギン柄のトレーナーを着てハシャイだりしている子どもたちの姿は、「上等なペンギン展示」に欠かせない要素だ!!自分で撮った写真もいいけど、展示されているペンギンを写したポストカードやマグネットがあったら、これも「良い思い出の品」になるだろう。
さすがロンドン動物園、この点もぬかりないのですな!!新設されたペンギンビーチのすぐ横に、やはり新しい「メイン売店」を配置している。とにかくデカイ売店です!!もちろん、ぺものだけではない。他の展示動物のグッズも豊富。…だが、かなり「ぺもの率」が高い、と思う。
以前も書いたが、このメイン売店だけで、妻と私は、それぞれ備え付けの買いものカゴをさげ、1時間以上店内を歩き回った。あちこちであれこれぺものをいじり回すので、店内を巡回しているガードマンにマークされてしまった。いやあ〜、ホントに大変でした(涙)!!
結局、監視されていたので、「撮影禁止」のルールを遵守しなければならなかった。申し訳ないが、店内の映像はありません。お詫びのしるしに…、ペンギンビーチの別の出入口にある「専用小型売店」をご紹介しよう。これは、山積みされている商品のほんの一部!ディ〓ズニー〓ンド並でしょ?
イギリスが、いやロンドン動物園が、ペンギンでここまでやるとは、正直意外だった。これはもう、エディンバラ動物園のノリだぜ!!…だと思う。やはり、これを支えるニーズがあるとしか思えない。
今後、ロンドン動物園を訪問される予定の皆様!スーツケースは、ぜひ大型のものをお持ち下さい!!それから、財布の中身もタップリと!!
さて、一息ついて…、園内を見渡してみると…、ペンギンビーチオープンを機に、どうやら「園内サイン」も一新したらしい。こんなシャレたデザインになっております!
また、これがよくわからないのだが、園内いたるところに「バルーン型遊具」がある。たしか昔はこんなのなかったよなあ〜?イモムシの口から入ってお尻から出るタイプや、ナゼかペンギン滑り台のタイプなど。子どもたちの歓声が響いていた。
最後のとどめ。メインゲート脇にも小さな売店がある。その前にひっそり置かれていたのが「ペニー銅板刻印機=ペニープレス」。去年、メルボルン水族館でもゲットしたので…、今度はロンドン動物園のをゲット!!
さて、次回はいよいよ最終回。ペンギン以外の「注目」ポイントと、いくつか気になることをまとめていきたい。
ロンドンの街中はどうなのでしょうか?
わたしの場合、「日本人がペンギンが好き」というときに思いつくのは、動物園水族館のペンギン人気ではなく、街中でペンギンキャラを良く見掛けるということです。しかも1種類ではなく、(クリーニング屋さんのような)マイナーなキャラも活躍しています。
彼らは必ずしも生ペンギンを背負ってはいません。極端な話さかざきさんのSuicaを見て、そのむこうにあるアデリーのことを思い出す人はあんまりいないでしょう(私達は例外だと思う)。
というわけで、ロンドンの街中がどうなのかがしりたいのです。
ペンギンブックスのペンギンはそれなりにいると思いますが、それ以外のマイナーなペンギンをいろいろ見掛けるということはありますでしょうか?
とはいうものの、もともと彼らの文化は日本ほどには「キャラもの」を許容しないようですので、それを考慮する必要も出て来ちゃって、
科学的に評価しようとすると難しいですね。
(単純に、ペンギンキャラ/全てのキャラ の割合をだすと、今度はキャラに溢れている日本が不利になります)。
>こばやしゆたか 様
ご指摘ありがとうございますm(__)m!!
本当に、ぺものやペンギン指数の判定は難しいですね。たしかに、ロンドンの街中では、日本のように「何気ないペンギンキャラ」は、あまり見かけません。メジャーな映画のキャラやナショナルジオグラフックの写真等がメインですね。
しかし…、地方に行くと、ピザ屋さんや運送業者、冷凍業者さんは「ペンギンキャラ」を使ってます。また、一時期は「マクビティーズ」が、独自のペンギンキャラをさかんに使ってました。それでも、日本ほどではない気がします。
まあ、この違いは、ペンギンの総合的な出現頻度の違いというよりは、「出現スタイル」あるいは「出現業界」の相違ではないかと思います。例えば、「penguin-art」というキーワードで検索してみると、英語圏諸国の傾向がわかるような事例が一杯出てきますね。
その傾向性、個性の相違について、今後ゆっくり観察し事例採集していきたいと考えています(^o^)v!