思い出深いぐるみの1つ。1988年、ニュージーランド南島、ダニーデンのある本屋で手に入れた。
この時、私は、この町のオタゴ大学で開かれていた「第1回国際ペンギン会議」に参加していた。ダニーデンは、小さな港町、そしてニュージーランドで最も古い大学町でもある。
市街北部のかなり広い部分を、オタゴ大学のキャンパスが占めている。会議は9日続いたが、宿舎(大学のゲストハウス)と会場との往復の途中で、いつも気になる書店があった。
本屋は「大学付属の教科書専門店」だった。小さなショーウインドーには、難しいテキストや参考書が並んでいる。しかし、その一隅にこんなペンギンぐるみが、「ちん」とすまして座っていた。
「国際ペンギン会議開催」を記念して飾ってあるんだろうな。そう思っていた。しかし、本屋に入って事情を聴いてみるとそうではないらしい。
「もともと理学部のマスコットなんだよ」という。ペンギンが首に巻いているマフラーは、オタゴ大学のリーガルマフラーなんだそうだ。
「もっとたくさんあったんだけど、これが最後の1つになっちゃったね。」レジの学生バイトらしい2人が顔を見合わせて頷いている。
「じゃあ売ってもらえないかな?」と恐る恐る尋ねた。2人は「うーん!?」としばらく考えていた。やがて、私が抱えていた冊子に目をとめる。
「国際ペンギン会議に参加してる人?」
「そう、たった1人のアジア人さ!」
「じゃ、いいか!記念に大事にしてね!」
ということで、今、「最後のオタゴ大学ペンギン」は我が家にいる。
その時の資料がこれ。表紙のイラストはキガシラペンギンの親子。私と「オタゴ大学ペンギンぐるみ」の結びの神でもある。