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ペンギンヒルズ様ご指摘のペンギン本はこれです(^○^)!!

2012 年 2 月 20 日 月曜日

ペンギンヒルズ様、大変ご無沙汰を致しまして、申し訳ございませんでしたm(__)m!!いろいろと業務繁多でして、高校教員にとっては、2〜3月は「地獄の進行月間」なんです(@_@)(涙)

さて、2月7日のブログでご紹介した、デズモンド・モリスの『フクロウ』(白水社刊)について、コメントを頂戴し、ありがとうございましたm(__)m!!ご指摘の通り、この本は、イギリスの出版社=REAKTION BOOKSの『Animal』シリーズの一冊です(^○^)!!『フクロウ』は、その31冊目。

なんと!『ペンギン』(Stephen Martin著、2009年発行)は、その次に出たのですね(^○^)!!私は、このペーパーバックシリーズを全て持ってはいないので、現在どこまで出ているのか正確には知らないのですが、、『ペンギン』の後にもさらに9冊の出版が予定されており、2009年の段階では、全部で41冊のラインナップとなるはずでした。

だから『フクロウ』のようなレベルで、全ての動物タイトルが出揃えば、それは謂わば「動物博物誌シリーズ」として一時代を画する出版企画になるはずです(^○^)!!繰り返しますが、私は『ペンギン』と『フクロウ』しか読んでおりませんので、果たしてそのような画期的シリーズになっているか否かについては、各々の動物の専門家の皆様の評価を待たねばならないと思います。

『ペンギン』(Stephen Martin著、2009年発行) 『ペンギン』(Stephen Martin著、2009年発行)

さて、では『ペンギン』についてはどうか?…と言いますと、私の評価はちょっと厳しめです(~_~;)その最大の理由は、私の『ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ』(岩波書店、2006年発行)と、かなりの内容的重複が見られるからです。

このシリーズの『ペンギン』は2009年に出ましたから、上田の『ペンギンは…』の3年後に出たことになります。著者のMartin氏は、シドニーのニュー・サウス・ウエールズ州立図書館で企画室長を務め、南極歴史ツアーガイドもなさる方のようです。「ようです」というのは、私は面識がないからです。

南極ツアーの様子は、本文の中でも語られていますし、ご本人が撮影された野生のペンギンの写真も収録されています。また、内容は、ペンギンの基本的生態はもちろん、人間との関係史やサブカルチャーにまで及ぶ網羅的なものです。その点で、デズモンド・モリスの『フクロウ』と、ほぼ同じスタンス、構成だと言えるでしょう。

私の採点がちょっと辛めなのは、人間との関係史において、ほぼ上田の『ペンギンは…』と同じ見解を開陳し、採用・引用・掲載されている図版・史料も上田のものとかなりかぶっているからです(~_~;)!!

まあ、これは重要かつ良質な史料については、そう大量に知られているわけではありませんし、大筋において誰がまとめても、大きく異なる「歴史」にはならないからです。しかし、細かく見ていけば、上田が使っていない図版史料もカラーで掲載されていますから、史料コレクターにとっては有意義かもしれません。

また、Martin氏が州立図書館の幹部だということも、書誌学的に有利なポイントだと思います。私も、シドニーに有力な古書店の知り合いがいて、毎月専門的な情報をもらっていますが、オーストラリアやニュージーランドの南部にある港町は、「南極史料」や「ペンギングッズ」を収集しようとする者にとって極めて豊かなフィールドでもあります。

さて、ではこの本からは何も新たに得るものはないか?といえば、そんなことはありません(^○^)!!まず、注目すべきは、日本のことが完璧に無視されているという事実です(~_~;)!!台湾の台北動物園で行われている「キングペンギンのパレード」は、カラー写真で紹介されています。また、このブログでも昨年ご紹介したロンドン動物園の新しいペンギン展示についても、カラー写真で紹介されています。…しかし、日本はゼロです(~_~;)!!

残念ながら、これが現実です。我々が、具体的飼育個体数をあげて、「日本のペンギン飼育は世界一だ!!」と力んでみても、欧米の書き手の感覚はこんなものなのです。また、「日本人が世界一ペンギン好きだ」などという記述はおろか、そういうことをちょっとでも感じさせる「ほのめかし」さえもありません。まあ、「日本人が世界一ペンギン好き」というのは、私も以前から指摘して参りましたが、日本人と欧米人との感覚や価値観の相違を考えれば、あまり根拠のない空論だと思いますから、これは当然の結果でしょう。欧米の書き手からの「反証」だという意味で、私たちは自分の「自意識過剰」あるいは「自信過剰」を、少し反省すべきなんでしょう(~_~;)!!

また、2009年までに発表された各種の研究成果を踏まえて、ペンギンの進化や基本的生態に関する最新の情報を集約して紹介しているのも、この本の特長です(^○^)!!そういう意味では、日本語に訳して出版する価値はあるのかもしれません。

そんなわけで、この本のご紹介が遅くなりましたことを、改めてお詫び申し上げますm(__)m!!

ペンギンヒルズ様のご感想はいかがでしょうか?

コメント / トラックバック 2 件

  1. ペンギンヒルズ より:

     長文のお答えありがとうございます。このシリーズは、魚の何冊かを除き、部屋の肥やしとなって積んであります。肝心のペンギンは最初に買った本を、人に見せたところ欲しいという顔をされたのであげてしまいました。その後、ほかの巻と一緒に再度購入しましたが、例によって図版をながめておしまいになっています。モリスのフクロウが面白かったので、ペンギンもどうかなあと思ったしだいです。
     以前、亡くなった千石さんに爬虫類の飼育記録の本を、手に入れた日に見せたところ、お前が持っているよりも俺が持ってるほうが本が喜ぶという目をされたので、泣く泣く本郷に置いてきたことがあります。こういう経験はあの高校の卒業生2名とだけです。

  2. 上田一生 より:

    >>ペンギンヒルズ 様
    「このペンギン本を見せていただいて『欲しいという顔をした』」のは私ですm(__)m!!
    いやあ〜(~_~;)(汗)、昨日、お電話でもお詫び申し上げました通り、この「ペンギン本」をペンギンヒルズ様から頂戴したという事実そのものを、こともあろうにすっかり失念しておりました(~_~;)m(__)m!!大変大変大変申し訳ありませんでしたm(__)m!!

    実を言いますと、まだまだペンギンヒルズ様からお借りしている本が何冊もあります(~_~;)(大冷汗)!!
    ペンギンヒルズに桜が咲く3月下旬には、「お花見+ペンギン観察」で、必ずお伺い致しますので、その時に、何冊かお返しできれは…と考えておりますm(__)m!!

    ちなみに…、ペンギンヒルズ様は千石先生のお通夜に参列されたとのこと。まさか、高校の先輩にも「蔵書」を貸与されていたとは、全く知りませんでした(~_~;)(汗)!!
    母校の名誉のために申し上げますが、母校では「人から欲しい本をもらう指導」は受けておりません_(._.)_!!

    ただ…、ペンギンヒルズ様のご自宅の貴重な蔵書の山々は、まさに宝の山脈です(^o^)v!!
    今後とも何卒よろしくお願い申し上げます…ナンチャッテ(~_~;)(冷汗)

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