以前、このカテゴリーで、ペンギンの「黒化個体」について、ちょっとご紹介した。その後、ネットの世界では、例の「黒キングペンギン」について、何か続報が取りざたされているのだろうか?もし何かご存じの方がいらっしゃれば、教えていただきたい。よろしくお願い申し上げますm(__)m!!
さて、今回は、書籍に現れた「黒化個体」の例をご紹介しよう。
文献は『the AFRICAN PENGUIN a natural history』(2001年初版)という。著者は、PHIL HOCKEY、ケープタウン大学のパーシー・フィッツパトリック研究所教授。南アフリカの鳥類研究者として著名な人物である。
72ページほどの小著だが、ケープペンギン=アフリカンペンギンに関する概説書としては、最も優れていると思う。
「黒ケープペンギン」は、その60ページに登場する。ここは、有名なボールダーズビーチとサイモンズタウン、そしてそこでくらすペンギン達を紹介する章。写真のキャプションには、「どのコロニーでも見られない光景:ボールダーズビーチに上陸してきた『melanistic penguin』(メラニンで真っ黒になったペンギン)」とある。
場所が、南アフリカだけに、重油を浴びた個体と間違いそうだが、これが正真正銘の「まっさらな状態」なのだ。この個体が、その後どうなったのか?残念ながら、続報はない。
この本の優れたところは、他のページでも、「色変わり個体」を紹介していること。例えば、39ページには「アルビノ(ただし、両目の周囲と翼が黒い)」、41ページには「頬にまだらな部分がある個体」の写真が使われている。しかも、後者はフリッパーバンドをしているので、一度以上「重油を浴びてリリースされた個体」である。
たぶん、丹念に探せば、「黒化個体」の映像は、もっと見つかるはずだ。様々な「色変わり個体」の出現がどういう意味を持ち、背景があるのかについては、今後の専門家の研究と分析を待つほかないだろう。