『朝日新聞グローブ』(2014年7月20日・No.139)最新号の特集は「動物園」です(^○^)!!

2014 年 7 月 20 日 日曜日

最近、様々な媒体で「動物園」がとりあげられています。もちろん、夏休みですから、家族連れで訪れるテーマパークとして、この季節や春・秋の観光シーズンには注目されることになります。

昔から、動物園や水族館の話題はいわゆる「暇ネタ」として有名でした。繁殖期には「赤ちゃん誕生」の話題。世の中が適当に平穏で大きな事件や話題がないと、紙面の「埋草」として動物園・水族館ネタが登場したのです。

しかし、最近、記事の趣旨は少しずつ変わりつつあります。

第1の変化は、「旭山ブーム」でした。「行動展示」という言葉がキーワードとなり、また、「閉園の危機」に直面した動物園の奇跡の復活物語として、社会的・経済的側面からの分析がさかんに行われました。「動物園や水族館を評価する基準として入園者数のみに注目する」ことが、この報道を通じていわば常識化していきました。さらに、ハード面では、「箱もの」施設の導入、アクリルガラスの多用など、水族館的手法が本格的に動物園に採用されていくさきがけとなりました。

次に、つい最近のことですが、「大型動物の消滅」あるいは「動物園そのものの存続の危機」という視点が、新聞やテレビに登場します。今回の『朝日新聞グローブ』の特集にも、そういう趣旨が色濃く現れています。

全体としては、「動物園の未来像」や「社会的意義」ならびに「動物園での様々な活動」について、具体的かつ好意的に紹介する姿勢が貫かれているようです。また、従来のように、動物園や水族館の関係者から直接発信された「内部情報」ではなく、記者やライターが独自の視点から動物園を取材し分析する態度が堅持されています。

こういう傾向は、地味ではありますが、動物園の評価や研究に関する新しい流れが生じつつある兆しだと考えております。これまでは、動物園スタッフや経験者、動物商や造園関係者、一部の研究者や好事家、あるいは有名カメラマン…などの「紹介記事」が目立っていました。しかし、最近は、様々な立場の発言者が多くのファクターに注目しつつ独自の分析を展開するようになってきました。

今回の特集も、その一例だととらえることができるでしょう。

動物園や水族館により広範な領域から注目が集まり、多様な価値観に立脚した意見発表が継続することで、動物園の進化が加速されることを願っています。…と同時に、いつも強調していることですが、全ての人が利用できる「動物園・水族館の史料」を網羅的に収集・整備し公開する施設が、できるだけ早く創設されることを、改めて呼びかけたいと思います。

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