「手作り解説板」や「手作り教材」などの効果が高く評価されてから、すでに20年ほど経過しています(^○^)!!最近では、旭山動物園などが有名ですが、現在の「手作り効果重視」の流れの源は、埼玉県子ども動物自然公園や全国の「子ども動物園」の工夫にあります。
いわゆる、「バブル期」や「ウォーターフロント開発期」に水族館が量産されたことがきっかけの1つとなって、飼育・展示の手法に多くの変化が起こり始めました。例えば、アクリル水槽の大型化や施設内の統一的サイン計画の採用、モニターや電動機材を利用した解説装置の多用…などなど、今はごく当たり前になり、全国の動物園・水族館で普通に見られるようになった機材が、急速に普及していったのです。
このような、施設の近代化、機械化、ハイテク化は、確かに飼育・展示施設の質的向上や世代交代に大いに貢献しました。しかし、その反面、これまでとは違った意味で「施設の画一化」が進んでしまったのです。
一連の「施設革新」の背景には、古くは大阪万博以来蓄積され更新されてきた「展示手法や技術の進化」がありました。「××博」は、1960年代から90年代に日本国内そして東アジアで乱立し、多額の費用が注入され、かつ多くの観客を集めたのです。施設を計画し造るサイドも、利用するサイドにも、こうして「新しい展示手法」が拡がり一般化していきました。
また、これとほぼ時を同じくして、大都市圏や大型のレジャー施設周辺に巨大なアミューズメント施設が次々に誕生していきました。広大な施設内での「サイン計画」や「情報提供機材」の統一は、単に便利さや効率を高めるだけでなく、施設全体の演出や差別化による効果を高めることにもつながります。
こうして、1970年代以降、これらの施設の演出や内装、様々な解説装置制作を専門とする業者が次々に出現し、既存の業者も発展を遂げていきました。それ以来、動物園・水族館の新設や改修事業が企画される度に、これらの専門業者が参入し、より効率的に最先端の展示手法を実現するようになったのです。
「手作り解説や手作り教材」の価値が再認識され、各地の園館で再評価されて、少しずつ普及していったのには、そういう大きな背景があります。ここにご紹介したマリンピア松島水族館の「手作り教材」も、その流れの中で生まれてきたものです。こういう「手作り教材」には、各々の施設の個性やスタッフの情熱が端的に現れます。ペンギン解説に、新しく、独自の手法が生み出され、各地の施設がますます個性的になっていくことを期待しています!!