1月15日(土)に発生した「ペルーでの原油流出事故による海洋汚染と救護活動」の続報です。

2022 年 2 月 2 日 水曜日

ペルー現地はもちろん、事故現場に駆けつけて「救護活動」をしている様々な専門家や団体から、今回の「原油による海洋汚染と救護活動」に関する新しい情報が、断片的に入ってきております。今回は、そのいくつかをご紹介致します。

まず、ペルーでの調査経験豊富なペンギン会議研究員 佐野淳さんからは、ペルーの保護団体(NGO)「Pro Delphinus」代表 ジョアナさんが、動物園に運び込まれた海鳥たちの治療で極めて多忙だという情報をいただいております。

佐野さんには、今回の「経緯」を、2月23日(祝)に予定されている「オンラインペンギン会議全国大会」にて発表していただけるよう、お願いしております。詳細は、その時に伺いましょう。

次に、アルゼンチンの動物園「Mundo Marino」からは、独自の救護チームがペルーに派遣され、汚染被害を受けた動物たちの救護・治療にあたっているとのことです。Mundo Marinoには、2回伺いましたが、油汚染されたり飢えて救護されたりした多数のマゼランペンギンやミナミイワトビペンギンを、長年にわたって救護してきた実績があります。また、2010年代以降、南米の「海洋生物救護活動」の拠点の1つとして、この分野でリーダーシップを発揮しています。

また、ペルーの救護組織=「Aiuka(ペンギンとウがロゴマーク)」は、アメリカ合衆国のカリフォルニアを拠点とした海鳥救護専門組織=「International Bird Rescue」の支援を受けながら、リマにある「パルケ・デ・ラス・レイエンダス動物園」で、運び込まれた海鳥の治療にあたっているとのことです。動物園には、6羽のフンボルトペンギンをはじめ、ペルーカツオドリ、何種かのウ、ペリカンなど数十個体が収容されているようです。海鳥以外にも、カメやウミカワウソも被害を受けたようです。

ちなみに、「International Bird Rescue」は、1971年創設の歴史と実績のある海鳥救護団体で、南アフリカのケープペンギンの救護活動などを通じて、世界各地の油汚染事故に即応し、各国の救護組織と広いネットワークを構築しています。

さて、2度にわたって流出した原油は、1月25日までに、最初に流出があったリマ西方のラパンピラ製油所から50キロメートル以上離れた海岸にも漂着しているとのことです。地元の生物学者は「ペルーで起きた過去最大の原油汚染事故だ」とものべているようです。汚染された海岸や海域は封鎖されているようですが、その海域には多くの魚介類がおり、原油汚染されたこれらの生物を食べた捕食者によって有害な化学物質が「生物濃縮」され、大型の海獣類や鯨類にも汚染や被害が広がることが心配されています。

フンボルトペンギンについては、まだ詳しいことはわかっておりませんが、今年巣立ちした若鳥が被害を受けているようです。また、繁殖期を終えて換羽期に入っていた成鳥は、ずっと陸上にいるため、原油被害を受けていないグループもあるとのことです。

今後、大きな変化があった場合は、また、ご報告致します。

コメントをどうぞ

ページトップへ