東北地方太平洋沖地震安否情報〜その19〜

2011 年 3 月 19 日 土曜日

おはようございます!被災地の皆様、お元気ですか?

積み重なる疲労と緊張で体調を崩される方々が、大変多くなっていると伺っております。どうか、持病や風邪にお気をつけてお過ごし下さい!!
今回は、被災地にいらっしゃる草野日差子さんからの情報をご紹介致します。草野さんは、マリンピアクラブの創設者であり、長くマリンピア松島水族館のために、支援活動を続けてこられました。また、関西ご出身で、あの「兵庫淡路大震災」の被災者でした。昨日も、お電話でお話させていただく中で、草野さんに毎日の生活をそのまま語っていただきたいとお願い致しました。日々の大変な暮らしでお疲れのところを、ご無理をお願いし、心苦しいのですが、草野さんのお話は、皆さんに、被災地で実際に何が起きているのか?被災者の皆様の真情は何なのか?細かく正確にご理解いただく、最もふさわしい情報だと信じております。では、草野さんのお話に、耳を傾けて下さい。(以下、草野さんからのメールの引用です)

「今の私」

宮城県岩沼市在住の草野日差子(マリンピアクラブスタッフ)です。
地震・津波から8日目です。
岩沼市は電気・電話・携帯が復旧しました。

断水が続いています。
6リットル制限だった給水も18リットルになりました。
ガソリンがなく、自転車で10分くらいの給水所までいきます。
給水の待ち時間は、1時間くらいになりました。
自転車で18リットルは運べないけど、水って不安定で重くて、
持ってかえるのは、本当に至難の業だけど
給水量が増えたのが、なによりも嬉しいです。

家の食料がつきてきました。
停電が続いて、冷凍庫に備蓄していた多くの食料を
いっぺんに食べることになってしまったのを
よく思い返します。

お米が残り3キロになってしまいました。
1日2食、朝はフルーツ1個と強力粉で焼いたパンを
少しだけ食べています。
強力粉もあとパンを3回焼いたらなくなります。

夕方は1合のごはんを2合の水で炊いたものを
家族3人でわけています。

昨日は、残り少ないガソリンで20キロ南西にある大河原まで
米を探しにいきました。
お店も在庫販売してくれていて、3時間並んで、
「そうめん、うどん、とろろ昆布、お菓子」を買うことができました。

前の日は、近くのスーパーで
10品10分限定で2時間ならんで買い物ができました。
「水・電池・米」は売り切れで、「マカロニ、スパゲティ」と、娘のために「小枝」を一袋買いました。

お米はないけど、明日の食料はあるし、あと1週間は食べていけそう。
もし、スーパーの在庫がなくなったら、どうするんだろう。。。
心配です。
でも、みんな、マナーを守っています。
今、ほしい分だけを買っています。
お互いに譲り合っています。

岩沼市は福島原発から約80キロ圏内です。
オバマ大統領がアメリカ人は80キロ圏内から
退避するように伝えたとききました。
(物資の調達に追われて、情報を得る余裕がなくて・・・
新しい情報が入ったら知り合い同士で
メール交換するようにしています。)

3月17日、岩沼市で観測された放射線量率は0.47マイクロシーベルト(宮城県HP)。
福島原発の事故の前、宮城県の通常の放射線量率は0.04〜0.05マイクロシーベルト(河北新報)。
買い物にいった大河原は1.0マイクロシーベルトを上回っていました。
1週間で、約12〜25倍の放射線量です。
一昨日の「臨界はない」という報道を信じています。
室内退避は、さらに、この35倍になった場合の話しなので、
今のところ、安心できるレベルですが、今後どうなるのか、やっぱり不安です。

できたら、、、
娘を放射線量12〜25倍の屋外で
5時間以上も風にあてたくない。。。
でも、体力保持のため栄養をつけないといけないから、
食べ物を売ってもらうために、とにかくがんばって並ばないと。。。
水をもらいに通わないと。。。
大きな地震がきたら娘を連れて逃げないと。。。

娘の学校が始業するまで、
関西の両親のもとで一時預かってもらいたいと
アクセスを調べてみました。

15キロある仙台長町の地下鉄まで徒歩3〜5時間くらい。
仙台〜山形までバス(1時間くらいの待ち時間)
山形空港はキャンセル待ちです。
しっかりしたアクセスがありません。
山形から電車なら帰ることができるかもしれないと思って
夜はインターネットでアクセスを検索する毎日です。

夜は地響きのような地鳴りと、
底から突き上げるような「がたん!」という音からはじまる地震が続いて、
ほとんど眠ることができません。
大潮のために、特に要注意です。
11日は、津波がすぐ近くまできました。
東部道路が防波堤になってくれました。
現在、地面が、かなり下がっているそうです。
次、大津波警報がでたら、飛び起きて、娘を抱きかかえて、車に乗り込んで、
高いところに避難しないと。
避難するガソリンだけは残しているけれど、
「家族の安否確認に気仙沼に、南三陸にいきたいからガソリン分けて…」という
メールを受け取りました。今日は2件。
本当に申し訳ないけど、娘を守るために断るしかありませんでした。
私たちも最小限のガソリンで生活しているから。
ガソリンが満タンだったら、津波の可能性がなかったら、車ごと、かしてあげたいけど。。。

本当にお世話なった友達だから。
思うばっかりで本当にごめんなさい。

今日、夫の友達が
親を探しにいくために、16時間待って給油ができたそうです。
国道4号線ぞいには、他府県ナンバーの車が、
ガソリンがつきてしまったのか、
道路わきにとまっています。

私の周りには
家族と家を失った人たちが
避難所で寒さと私よりもっともっと少量の食料で耐えています。

スーパーで食料を買うために3時間ならんでも、文句を言う人はいません。
みんな静かに並んで待っています。
「おうちに帰ろう」という小さな子供も、並んでいます。

給水で6時間ならんで列が乱れ、横入りする人がいたとしても
喧嘩にはなりませんでした。

だれも言葉にはださないけれど、
私たち、自宅が流されなかった人は
物資やガソリンは、避難所を優先にしてもらいたいと
心から願っています。

私は娘がいるから、直接ボランティアや支援活動をすることはできないけど、
物資・水・ガソリンは自分の努力で調達することが
支援の一部になっていればと思っています。
みんな、そう思っています。

だから、明日もがんばります。

行政も、ボランティアの方も、地元FMラジオの方も、
支援してくれている皆さんは、
不眠不休でがんばってくれています。

給水所で、岩沼市社会福祉協議会の人から
「えのきだけ」と「バターロール」をもらいました。
1食分潤いました。とてもほっとしました。
「えのきだけ」は、今日「うどん1玉」をのばしてのばして、
のばしたものと一緒に煮込んで
カレーうどんにして食べました。
すごくおいしかった。

ダイエットしたかった私は1週間で4キロやせました。
おなかは、よく鳴っています。
むすめも「私ははらべこ青虫。ご飯おいしいな〜」と
歌っています。

東北電力の友達は、小学校がお休みなので、
職場に子供と一緒にいき、家に帰らず電気を復旧してくれました。

大河原のスーパーで並んでいるとき、
若い女の子が娘に飴を1つ、くれました。
私はその場で泣いてしまいました。

今日は、ご近所の方に「ぽたぽた焼き」を3枚もらいました。
せんべいの甘みと、友人の優しさに癒されました。

娘と同級生のパパが
仙台市内で働いています。
岩沼から仙台まで自転車で1時間20分通勤の毎日。
夜、うちにきて「卵1パック12個入り!」と「甘い洋菓子」をくれました。
毎日通勤で疲れているのに、
1秒でも早く家に帰って、最初に娘さんに会いたいだろうに、
家まで寄ってくれて、心から感謝です。

アメリカから、友人が正確な情報をくれます。
ネットをする時間がないので、
本当に助かります。

神戸の職場で共に阪神淡路大震災を乗り越えた友人が、
学生時代を共にした仲間が、
こまめにメールで励ましてくれます。

このブログの情報や内容が
生きる気力を与えてくれます。

この星のみんなが応援してくれているから、
物資が補充されると信じてまっています。

時々、弱気になって、いきなり泣きそうになります。
人の親切が、心に直接届いて、泣いてしまいます。
みんな応援してくれているから、
明日も、みんなと頑張ります!

草野日差子
2011年3月19日(土)深夜現在

(草野さんのお話は以上です)

草野さん、お疲れのところを、本当に本当にありがとうございました!どうか、草野さんご自身はもちろん、ご家族や周辺の方々が、お元気でこの難局を無事のりきられることを、心からお祈り申し上げます!!

また、皆様からの励ましの言葉、有用な情報を、コメントにお寄せ下さい!皆様のご協力を、何卒よろしくお願い申し上げます!!

ペンギン会議・マリンピアクラブ 上田ー生

コメント / トラックバック 2 件

  1. 上沼 牧 より:

    草野さんの後輩の上沼と申します。今は何もできないのが辛いけど、応援してます。お体お大事に!

  2. 山本 八恵美 より:

    草野さんの中学・高校の同級生です。地震発生後の厳しい状況の中、家族や周囲の方を思い、奮闘している姿が文面から浮かんできます。
    本当に、生きててよかった!!!
    主人と一緒に、食い入るように読みました。
    あまりにも大きな災害で、何をしたらいいのか分からず、情けない思いでいます。
    どうか、身体には気をつけてください。

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