資料の「はじめに」によれば…「クリスマスレクチャー」は「電磁気学の父」とよばれるマイケル・ファラデーらが、科学はいかに身近で楽しいかを子どもたちに伝えるべく、クリスマスプレゼントとして1825年に始めた特別公開講座です。したがって、イギリスではもう180年以上の歴史があるわけです。
日本では、1990年からブリティッシュ・カウンシルと読売新聞社が主催して、日本の夏に開催されてきたそうです。だから、今年で23回目になるわけですね。
今年のテーマは「脳を科学する」ということで、ブリストル大学のブルース・フッド教授が、約2時間にわたる楽しい実験授業を展開されました。
私は、以前からおつきあいのある「三菱みなとみらい技術館」の学芸員の方からお誘いをうけ、日吉にある慶應義塾の立派なホールで聴講しました。同じレクチャーが7月29日(日)に東北大学でも開かれるそうです。レクチャーの様子は、10月にNHKの教育テレビでも放映されるそうですから、具体的にはその番組をご覧下さい。
さて、なぜこの特別公開講座について長々とご紹介したのかと言えば、日本ではこのような「科学的なものの考え方を第一線の研究者が直接若者たちに語りかける定例の機会」が少ないと感じているからです。
大震災以来の日本の混沌とした状況は、何が原因なのかなかなか難しい問題ですが、災害や原発に関する混乱については、「日本人の科学的思考力」が問われているように思われてしかたありません。
環境問題についても、事情は同じです。だから、こういった「生の最先端の科学に直接ふれる」機会をいかに増やせるか?それが、大人たちに与えられた新しく重たい宿題だと考えております。