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『昔々の上野動物園、絵はがき物語…明治・大正・昭和…パンダがやって来た日まで』(小宮輝之著、株式会社求龍堂、2012年10月23日発行)はペンギンファンのみならず園館ファン必読のビジュアル・コレクター本です(^○^)!!

2012 年 10 月 28 日 日曜日

さすが!!「動物園マニア」として知られる小宮輝之さん!!「動物園絵はがき」で動物と上野動物園について語るという新しい手法をみごとに結実させていらっしゃいます(^○^)!!園館マニアのお手本を示された…と言ってもいいかもしれません(^○^)!!

絵はがきコレクターは世界中に数えきれないほどいるでしょう。特に、写真絵はがきは、古書店や古物商では基本的商品です。私もこれまで、内外の何百という斯界の店を巡ってきました。一種の巡礼かな…!?なんて考えたこともあります。そして、そういう店の「絵はがきストック」には、必ず「動物」、「動物園」という分類項目があるんですよ(^○^)!!

しかし、よほどの店でない限り、置いてある写真絵はがきの年代や内容まで正確に把握し、解説するということはありません。だから、そういう店では「目利き」であることがいわば暗黙の前提になっていて、「バッタもんつかんでも自己責任でっせ!」という厳しい掟が待ち構えているのです(~_~;)(涙)!!

その点、この本は間違いありません(^o^)v!!なんせ、バリバリの動物園マニアでありバリバリの前上野動物園園長が語る「上野動物園絵はがき物語」なんですから…、どっちかというと楽屋落ちスレスレの雰囲気さえ漂っている、こゆううう〜い「コレクター本」です(^o^)v!!

昔々の上野動物園、絵はがき物語 昔々の上野動物園、絵はがき物語 昔々の上野動物園、絵はがき物語

さて、ペンギンファンにとって見逃せないのは、まず70ページの「ペンギンがやって来た」のマゼランとフンボルトの絵はがき(^○^)!!特に、71ページのフンボルトの絵はがきには、「そして旧正門前に今でもあり、最近ではカワウソなども飼われた円形ケージに収容されている。」という施設の解説に続いて、この施設が昭和2年に白鳥舎として建てられ、ペリカン、ツル、ミナミゾウアザラシも飼育されたことがある…という説明があります。何気ない解説ですが、こういうことがスラスラっと語られるところに、著者の力量が示されていると思います(^o^)v!!

最後に、ちょっと気になった点を1つ指摘しておきたいと思います。それは175ページのオオサマペンギンに関する記事。

「オオサマペンギンはよく産卵し、足の上で卵を温める光景が見られ、昭和五十八年に初めて雛が誕生している。この頃から健康管理の一環として、冬季にペンギンの園内散歩をおこなうようになった。各地でおこなわれるようになったペンギンパレードも、運動で健康を補うことが目的で、上野ではじめられたものだった。」とあります。

昭和51年に発行された白井和夫さんの古典的名著『ペギーちゃん誕生:ペンギンを育てる』(白井和夫著、昭和堂印刷出版事業部、昭和51年7月20日発行)の170ページに写真入りで明記されている通り、旧長崎水族館では、すでに昭和40年代後半には「ペンギンパレード(実際には「ペンギンの散歩」と称していた)」がルーティンワークとして確立しており、全国的に知られていました。観客にとっては楽しいショーであり、ペンギンにとっては健康管理のためという「ねらい」も現在と全く同じです(^○^)!!

ペギーちゃん誕生:ペンギンを育てる ペギーちゃん誕生:ペンギンを育てる

また、昭和57年に長崎水族館の「オウサマペンギン飼育20年」を記念して発行されたパンフレットにも、若き日の楠田幸雄長崎ペンギン水族館館長のお写真とともに、キングペンギンの「散歩」の光景が紹介されています(^○^)!!この時点で、長崎水族館のキングペンギン飼育技術は既に高度に完成されたレベルに達しており、「ペンギンパレード」は、健康管理面で極めて重要で基本的な技術として確立されていたのは明らかです。

オウサマペンギン飼育20年 オウサマペンギン飼育20年 オウサマペンギン飼育20年

したがって、キングペンギンの「パレード」の意義と目的を今日的意味で確立し広めたのは旧長崎水族館だというのが私の認識です。いかがでしょうか?

まあ…そういうことはありますが、この「上野動物園写真絵はがき本」は、マニア必携の文献であることは間違いありません(^o^)v!!ぜひご一読下さいませ(^○^)!!

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