ちなみに、この写真のシリーズは『岩波少年文庫シリーズ023』です(^o^)/
さて、ドリトル先生シリーズの中で、ペンギンが登場するのはこの場面だけ…だと思うんですが、いかがでしょうか?それは、上記のシリーズでいえば「ドリトル先生物語3」にあたる『ドリトル先生の郵便局』(ヒュー・ロフティング作、井伏鱒二訳、新版、岩波書店、2011年6月6日)の86ページです。なんせ、かの井伏鱒二が訳してるんですから、格調が高いですよね(^o^)v!!
皆様ご存知の通り、この挿絵も作者のヒュー・ロフティング自身が描いたものです。ツバメのスキマーに、ドリトル先生が「地球上のすみずみまで、あらゆる鳥にことづけをするように命じました。」という文に続いて「カモメ、シジュウカラ、カササギ、ツグミ、ウミツバメ、アトリ」に続いてペンギンが登場するのです。ペンギンのあとには、「ハゲタカ、ホオジロ、ガンなど…」と連なります。
…で、その見開きページに、こんな挿絵があるんです。
以前から思ってたんですが、このペンギンの描き方は、「どこかで見たなあ…?」。いや、何か特定の作品を模写したわけではなく、全体のフォルムや周囲の鳥たちの描き方に、なんだか見覚えがあるのです。
それが「博物画の鳥」だ、ということに、最近ようやく気づきました(^○^)!!具体例は、私の『ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ』(岩波書店)に掲載したいろいろなペンギンの博物画をご覧下さいm(__)m!!
また同時に、この姿は、18〜19世紀に描かれたオオウミガラスにも似ています。ロフティングは1886年に生まれ1947年に亡くなりました。もちろん、彼が成長した時期には、すでに南極等の「生きたペンギンの姿」を写真や動画で見ることはできましたし、大きな動物園には実物のペンギンが飼われてもいました。だから、ロフティングには、ちょっと工夫すれば正確なペンギンの姿を確認することができたはず。だのに、どうして彼が描いたペンギンには、古い博物画や彼が生まる前に絶滅してしまったオオウミガラス(1884年絶滅)の面影が色濃く現れているのでしょうか?
いずれ、そのあたりの背景を詳しく調べてみようと考えております。皆様は、いかが思われますか?