「フォークランドの風」こと斎藤美香子さんは、実は「イワトビペンギンファン」だそうです。例の「お○た」発言も、イワトビの時が一番盛り上がりましたよね(^o^)/
さて、今回の情報は、その斎藤さんからいただいたものを基本にしております。
斎藤さんは、もう10回もフォークランド諸島に出かけ、実際にミナミイワトビペンギンを観察して、それを研究・保全している方々を支援し、お手伝いしてこられました。
斎藤さんのイワトビペンギンに注がれる愛情は、とてもとても熱いのです。
さて、ここにご紹介するイワトビペンギンの情報は、2008年6月3〜5日に、イギリスのエディンバラ動物園を会場に開かれた「イワトビペンギンの個体数変動に関する研究・保全のためのアクションプラン・ワークショップ」で明らかにされたものです。
詳細な情報を知りたい方は、このワークショップを支援した「BirdLife INTERNATIONAL」のサイトから、会議の報告書をご確認下さい。
なお、この会議の提唱・主催者は、スコットランド動物学協会です。
このワークショップで対象となったのは、キタイワトビペンギンとミナミイワトビペンギンです。
主な繁殖地として、トリスタンとゴフのキタイワトビ、パタゴニア、チリ、太平洋域のミナミイワトビが検討されました。
ただし、データとしては、キタイワトビに関してはインド洋域、ミナミイワトビに関してはアルゼンチン、フォークランド諸島、インド洋域のものも、検討されています。
全体の個体数としては、キタイワトビは24万つがい、ミナミイワトビは123万つがい前後という結果でした。
ただし、これらの地域・海域で、これまで継続的かつ計画的に個体数調査が行われてきたのは、フォークランド諸島(基本的に5年に一度センサスを実施)だけで、それ以外の繁殖地の個体数は、1970〜80年代に実施された調査を基本にしています。
以前、別項で記しましたが、私も70〜80年代の個体数調査に参加しました。
しかし、それ以後の継続的調査が実施されていない状況で、どれだけ正確に現状を推定できるのかについては、慎重に考えるべきでしょう。
さらに、最近37年間の個体数変動は、キタイワトビについては57%の減少、ミナミイワトビについては34%の減少となっています。
しかし、大切なことは、20世紀を通じて見られたイワトビの急激な全体的減少傾向の主因が何なのかについては、依然として、科学的に明確な原因を特定できないことです。
報告書は、過剰なツーリズムや生息地の破壊、細菌感染による大量死、環境汚染、餌生物の乱獲、温暖化にともなう餌生物分布の変化、温暖化にともなうペンギンの移動による死亡率の上昇等、様々な要因を指摘してはいますが、南半球の広大な海洋に分布するイワトビペンギン全体の減少を合理的に説明できる因子は特定できていません。
さて、このワークショップには21人の参加者がありましたが、残念ながら日本人の参加者はありませんでした。
参加者一覧も、先ほどの報告書の最終ページに連絡先と共に明記されていますので、興味のある方は、コンタクトしてみて下さい。
イワトビについては、亜種化の圧力が高まっています。また、新たな種を認定しようという動きも盛んです。
しかし、今、大切なことは、イワトビたちの現状をより継続的かつ正確に把握し、個体数変動の実態を掴んで、必要な対策を講じていくことではないでしょうか?
また、何か新しい動きがありましたらご紹介致します。