「7月11日(土)にオープン予定となりました。フンボルトペンギン達の歩行訓練も順調に進んでいます。ついては、解説板の英文・和文原稿をお願いできませんかねぇ?」
2009年6月12日夜、受話器の向こうからいつもの優しい声が聞こえてきた。でも、ちょっと疲れてるかな?いやいやだいぶ疲れてるな。部屋の時計を見ると11時を回っていた。
「楠田さん、ご連絡ありがとうございます。まだ水族館ですか?ずいぶん疲れていらっしゃるようですけど、大丈夫ですか?」
たしか、最近、ジェンツーペンギンの産卵と抱卵があって、かなり泊まり込みされたと聞いている。その上、新しいペンギン展示のオープンが間近に迫っていた。責任感の強い方だから、きっと無理を重ねているに違いない。
「いやあ〜、アハハ、さすがにですねぇ、すこおし疲れてますかねぇ〜。」
この夜ばかりは、楠田さんも疲労を隠さなかった。長崎の柔和なイントネーションにも、いつもの力がない。私は、この方の言葉遣いと気遣いが大好きだ。心の芯から温かい人柄が、そのまま長崎弁に現れている。
長い付き合いである。楠田幸雄さんとの出会いは、26年も前のこと。妻と北九州を巡る旅の途中だった。その頃、私たち夫婦は「旅先ではペンギンが見られる動物園や水族館に必ず立ち寄る」ことを義務化していた。当時の施設名は「長崎水族館」。日本で一・二を争う著名な「ペンギン展示」を誇っていた。
午前中から見ていたが、午後になってもまだ、立ち去りがたい気分だった。ペンギンたちが元気に泳ぐ姿を眺めていると…。
「一緒に写真を撮られませんかねぇ?」と声がかかった。振り向くと、満面笑顔の若き楠田さん。「どうぞどうぞ…」と言いながら、ペンギン展示施設に入れてくれる。なんのためらいもなし。普通、こんなことはない。お客さんをそう簡単にはペンギン展示施設内に入れないのが常識だ。私の安物のカメラを手渡す。
「はい、もっとペンギンに近づいてぇ〜。」
ペンギンも逃げない。一度ならず、二度三度とシャッターがきられる。「いいのかなぁ?」という気持ちで一杯。というのも、他にもお客さんがいて、こちらの突発的撮影会を眺めていたから。
「どう考えても特別待遇だよなあ。」と思いつつ、「やったね!ラッキー!」という気持ちに負けてしまった。
「はぁい、お疲れぇ〜。」ペンギンたちに手を振りながら、カメラを返してくれる。
「じっと見とられましたもんねぇ。お好きなのかなあ、と思ってですね。声をかけました。」
「はい、好きなんです!どこに行っても、ペンギンを見に行きます。今日も午前中から見てました。」
「知っとりましたよ。ずいぶん長いこと見とられるなぁ、と感心してました。アハハ。」
もう一度言うが、私は楠田さんの「アハハ」が大好きなのだ。その笑顔と、四半世紀以上接してきた。
だから、この夜の「アハハ」に深い疲労を感じた。
「でもですね、これは長年の夢ですから。先生のペンギンビーチがやっと完成するとですよ。」
その通り。「ペンギンビーチ」は、私の最近15年間最大の夢の1つだった。やっと実現するのだ。うれしくないはずがない。でも、楠田さんの疲れきった声には、きっと何か大きな理由がある。
そういう確信があった。
いつかアルガロッボヨットハーバー側の砂浜のように普通にフンボたちがくつろぐ姿が目に浮かびます。
penguinman 様
今年の「長崎ペンギン水族館特製カレンダー」には、素晴らしいペンギンビーチの写真が載ってますよ!!本当に「自然な」ショットが撮れます。皆様、今年は是非、長崎へお出掛け下さい_(._.)_!!「坂本龍馬」も見逃せません!そして、その後は、「チリ・ペンギンツアー(本年11月実施予定)」に参加して、野生のフンボルトペンギンを堪能しましょう(^-^)/!!!コマーシャルでした。
ペンギンツアーの宣伝をありがとうございます。皆の衆、是非行くぜよ!!!