子どもの本として、小型版ペーパーバックがどれくらい普及しているか?というと、やはり年齢的な制約を考えなければならないだろう。世界初の「新書」がイギリスの「ペンギンブックシリーズ」だという事実を見ても明らかなように、小型版ペーパーバック本は、本来「子ども向き」ではない。
子どもの本は、「一人読み」ではなく、「大人の介添え=読み聞かせ」を前提にしている。また、活字を大きく絵を大きく見せる効果を無視できないので、なかなか小型化されない。「お風呂絵本」とか、「オモチャ絵本」等は別として、普通の子どもの本は、子どもの手荒な扱いを前提として、比較的大きめで丈夫なつくりになっている。
さて、イギリスの書店の「子どもの本コーナー」にズラッと並んでいる本の中で、小型ペーパーバック版のものは、だいたい「ジュブナイルもの」だと相場が決まっていた。一昔前は、冒険もの、恋愛もの、ファンタジー、SFが大勢を占めていた。
しかし、最近は、完全に「ゲームもの」に支配されている。最初は「ロールプレイング」が独裁状態だったが、今や、各種の攻略本、キャラのバックグラウンド本等が勢力を拡大している。
私は、大昔「ゲームデザイン」をちょっとだけ手がけた。しかし、それはボードシミュレーションゲームだったので、今のような「カードゲーム(トレーディング系)」や「コンピュータゲーム」は、全くわからない。話に聞けば、今や30代後半の人達は、「ゲームで相手の年齢」を推定できるのだ…とか。私には、到底理解不能な世界だ。
だから…、今のゲーム業界に、いったいどれだけ「ペンギンキャラ」がいるのか?「ペンギンゲーム」と呼べるソフトがあるのか?皆目見当もつかない。
というわけで…、今回ご紹介する「小型版ペーパーバック子どもの本」は、そういう前提でご覧いただきたい。
まずは、「ゲーム関連本」から。『Disney CLUB PENGUIN The Inventor’s Apprentice』(Tracey West作、Ladybird Books Ltd、2010年)は、あのディズニーキャラのゲーム本。任天堂DSで、「クラブペンギン」シリーズのソフトが出ている…らしい。
関連書籍は、これ以外に10種類前後書棚に並んでいたが、バカバカしいし重いので、これ1冊を「代表例=サンプル」として購入した。ちなみに…、妻はサンプルの購入にも反対していた。
絵づらは、どう見ても20年以上前のセンス。とにかく、ペンギンだ!とわかるだけ。まあ、ゲーム中心なんだから、そんなんで十分なんでしょうが…。これを、果たして「子どもの本」に分類して良いものやら。かなり迷うところ。しかし、このテの本がのさばっているのも現実なので、やむなくご紹介しています。
さて、次の「小型版ペーパーバック子どもの本」は、完全にマンガの世界。『Animal Antics The Potty Penguin』(Lucy Courteny作、Phil Alderson画、Strips、2010年)は、小型版ペーパーバック書き下ろし。主人公は、子どものエンペラーペンギン=Pepper。だけど、大きな秘密を抱えてる。
まあ、ざっと読んだ感じでは、「大人向き風刺マンガ」ってなところですな。つまり、作者は特にペンギンについて何か言いたいのではなく、「動物の気持ちなんか所詮人間にゃわからないんだよぉ〜!」と言いたいだけだと思う。
ひょっとしたら、本屋さんの店員が、この本の置場を間違えたのかもしれない。まあ、子どもが読んでも、それなりに楽しめるとは思うけど…。