最新イギリス「子どもの本事情」〜その5〜小型版ペーパーバックにも「ゲームキャラ」が押し寄せている!!

2011 年 9 月 20 日 火曜日

子どもの本として、小型版ペーパーバックがどれくらい普及しているか?というと、やはり年齢的な制約を考えなければならないだろう。世界初の「新書」がイギリスの「ペンギンブックシリーズ」だという事実を見ても明らかなように、小型版ペーパーバック本は、本来「子ども向き」ではない。

子どもの本は、「一人読み」ではなく、「大人の介添え=読み聞かせ」を前提にしている。また、活字を大きく絵を大きく見せる効果を無視できないので、なかなか小型化されない。「お風呂絵本」とか、「オモチャ絵本」等は別として、普通の子どもの本は、子どもの手荒な扱いを前提として、比較的大きめで丈夫なつくりになっている。

さて、イギリスの書店の「子どもの本コーナー」にズラッと並んでいる本の中で、小型ペーパーバック版のものは、だいたい「ジュブナイルもの」だと相場が決まっていた。一昔前は、冒険もの、恋愛もの、ファンタジー、SFが大勢を占めていた。

しかし、最近は、完全に「ゲームもの」に支配されている。最初は「ロールプレイング」が独裁状態だったが、今や、各種の攻略本、キャラのバックグラウンド本等が勢力を拡大している。

私は、大昔「ゲームデザイン」をちょっとだけ手がけた。しかし、それはボードシミュレーションゲームだったので、今のような「カードゲーム(トレーディング系)」や「コンピュータゲーム」は、全くわからない。話に聞けば、今や30代後半の人達は、「ゲームで相手の年齢」を推定できるのだ…とか。私には、到底理解不能な世界だ。

だから…、今のゲーム業界に、いったいどれだけ「ペンギンキャラ」がいるのか?「ペンギンゲーム」と呼べるソフトがあるのか?皆目見当もつかない。

というわけで…、今回ご紹介する「小型版ペーパーバック子どもの本」は、そういう前提でご覧いただきたい。

『Disney CLUB PENGUIN The Inventor's Apprentice』(Tracey West作、Ladybird Books Ltd、2010年)と『Animal Antics The Potty Penguin』(Lucy Courteny作、Phil Alderson画、Strips、2010年) 『Disney CLUB PENGUIN The Inventor's Apprentice』(Tracey West作、Ladybird Books Ltd、2010年)と『Animal Antics The Potty Penguin』(Lucy Courteny作、Phil Alderson画、Strips、2010年)の背表紙

まずは、「ゲーム関連本」から。『Disney CLUB PENGUIN The Inventor’s Apprentice』(Tracey West作、Ladybird Books Ltd、2010年)は、あのディズニーキャラのゲーム本。任天堂DSで、「クラブペンギン」シリーズのソフトが出ている…らしい。

関連書籍は、これ以外に10種類前後書棚に並んでいたが、バカバカしいし重いので、これ1冊を「代表例=サンプル」として購入した。ちなみに…、妻はサンプルの購入にも反対していた。

絵づらは、どう見ても20年以上前のセンス。とにかく、ペンギンだ!とわかるだけ。まあ、ゲーム中心なんだから、そんなんで十分なんでしょうが…。これを、果たして「子どもの本」に分類して良いものやら。かなり迷うところ。しかし、このテの本がのさばっているのも現実なので、やむなくご紹介しています。

さて、次の「小型版ペーパーバック子どもの本」は、完全にマンガの世界。『Animal Antics The Potty Penguin』(Lucy Courteny作、Phil Alderson画、Strips、2010年)は、小型版ペーパーバック書き下ろし。主人公は、子どものエンペラーペンギン=Pepper。だけど、大きな秘密を抱えてる。

まあ、ざっと読んだ感じでは、「大人向き風刺マンガ」ってなところですな。つまり、作者は特にペンギンについて何か言いたいのではなく、「動物の気持ちなんか所詮人間にゃわからないんだよぉ〜!」と言いたいだけだと思う。

ひょっとしたら、本屋さんの店員が、この本の置場を間違えたのかもしれない。まあ、子どもが読んでも、それなりに楽しめるとは思うけど…。

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