いつもお世話になっている朝日新聞の村山様から、以下のような「デジタル版記事」のご紹介をいただきました(^○^)!!まずは、いただいた情報をご覧下さいませm(__)m!!
「朝日新聞デジタル長野版
朝日新聞デジタル:須坂のペンギン「脱走」 また失敗-マイタウン長野2012年08月14日フンボルトペンギン2羽が「脱走」する騒ぎがあった須坂市動物園で14日、ペンギン1羽が再び逃げ出した。今回も無事捕獲されたものの、職員は「よほど外に興味があるのか、好奇心が旺盛すぎて参りました」と困った様子だ。
」
同園によると、午前7時40分ごろ、出勤した職員が園外の臥竜公園にある池を泳ぐペンギン1羽を発見。前回同様、職員がボートを出し、1時間後にタモ網で捕まえた。体の模様などから、12日に脱走して同じ池を泳いでいた生後3カ月のペンギンと見られる。
前回の脱走後、同園はペンギン舎の階段にベニヤ板を設置して乗り越えられないようにするなどした。だが今回は、舎の周りにある手すりと地面の約20センチの隙間から逃げ出したようだ。
担当者は「ヒナは一般的に怖いもの知らず。よほど池が好きなんでしょうね。うまくやられました」。「3度目」がないよう、逃げ出した隙間に網を張るなどの対策を講じるという。(軽部理人)
村山様、いつも入手が難しい正確な情報をいただき、本当にありがとうございます_(._.)_!!実は、私も、テレビニュースで概要を知ってはいたのですが、地元以外ではなかなか詳細を知ることは難しいので、なんとか続報を知りたいと思っていました(^○^)!!
それにしても、本人(ペンギン)にはかわいそうですが、タモ網に入ってぶら下げられている若鳥の表情が面白いですね(^○^)!!やっぱり、池の場合には、追いつめることができますからタモ網が効果的でしょうね(^○^)!!
しかし…「臥竜公園」=竜が臥している公園にペンギンが臥していたというのは、なんだか楽しい取り合わせですね(^○^)!!「臥竜」は、あの諸葛亮孔明にも奉られた通り名ですから、このペンギンはさぞかし出世することでしょう(^o^)v!!
さて…、今回の脱出事件は、いくつかのことを改めて教えてくれた、貴重な体験だったと思います。
まずは…、とにかく若い個体は好奇心のかたまりだということ。もちろん、全てがそうだというわけではありませんが、若鳥の好奇心は、常に暴走することがある…と覚悟しておく必要があります。3月5日以降のブログでも再三記しましたが、若い個体は、あちこち動き回りつつき回ることで周囲の環境を認識していきます。空間認識というか、情報を貪欲に記憶し、蓄える行動がなければ、成長は望めません。まあ、これは人間も似たようなものですね(^○^)!!
その過程で、思わぬ結果になってしまうわけです。だから、こういう行動に「外に逃げたかった」とか「脱出願望があった」とか、ましてや「自由を求めていた」等という、擬人的で一方的な結論を押しつけてはなりません。
「さざなみくん騒動」の過程で何回も記しましたが、最初から飼育下で生まれ育ったペンギンは、その場所こそが故郷なのですから、全く知らない「海」や「自由」とやらを求めて「脱走」することはないのです!!そもそも長野県に海はありませんからね。まさか、今回の脱出個体が臥竜公園の池に「自由」を求めていた…などと解釈する人はいないでしょう!!
一方、2回にわたる脱出を可能にした施設面での詰めについては、今回の経験を十分参考にすべきだと思います。私が、須坂市動物園を訪れたのは、もう25年以上前のことですから、当時と状況は大きく異なっていることでしょう。
しかし、一般的にいって、フンボルトペンギンは「登坂能力」もさることながら、「掘削能力=穴掘り能力」や「くぐり抜け能力」もかなり優れていると考えて下さい!!元来、野生のフンボルトペンギンはかなり長大な巣穴を掘るものです。また、岩場の狭い隙間をくぐり抜けて、岩の隙間に巣をつくったりします。例えば、チリのアルガロボの人工的な護岸の隙間で繁殖するフンボルトのお話は、このブログでもご紹介してきたはずです(^○^)!!
従って、20cmもの隙間があれば、フンボルトやマゼランやケープは、楽々すり抜けていくと考えていただきたいものです!!15cmでも危険です!!できれば、隙間は3cm未満にしていただきたいと思います。
同時に、フェンスの下=基盤は、土ではなく、必ずコンクリートとし、コンクリートの基礎を地中1メートル以上の深さまでうって下さい!!コンクリートが無理な場合は、地中に腐蝕しない材質の網を仕込んでおけば大丈夫です。また、フェンスの上部には、必ず返しをつけて下さい。特に、フェンスの角=コーナーの部分は、ペンギンが両足とクチバシとを使い「三点支持」でよじ登る可能性がありますので、返しを大きくきつくしておく必要があります!!
これらの施設的配慮は、ペンギンの脱出防止対策として有効なだけでなく、施設周辺に肉食の野生捕食者がいる場合には、その侵入防止対策としても、ある程度の効果があります。特に、今回の須坂市動物園のように、豊かな自然に恵まれた環境の中にある施設の場合は、キツネ、タヌキなどによる捕食被害の可能性もあると思いますので、十分な注意が必要です。今回も、大きな池の中央に浮いていれば安心ですが、上陸して寝ている時に襲われれば、若い個体では歯向かうことは難しかったでしょう。ペンギンにとっては、素早く回収されて幸せだったと思います。
日本には、様々な環境で多数のフンボルトペンギンが飼育・展示されています。問題や課題も実に様々です。園館スタッフの皆様のご努力と創意工夫とを、今後とも何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m!!