IPC XI で発表されたり情報交換されたりした様々な話題につきまして、ご紹介を続けます。
3、ビデオロガーを用いた研究がどんどん進化しています。
元々、IPC は、1988年の第1回会議(ニュージーランド・オタゴ大学)以降、バイオロギングを用いたペンギンの生態研究に注目し、国際的な共同研究の可能性を追求したり、この研究技法に関する情報交換を活発化したりしてきました。2003年に、日本で第1回国際バイオロギングシンポジウムが開催され、この研究技法に関する国際交流が拡大・深化し始めてからも、ペンギンにおけるバイオロギングを用いた様々な研究結果が発表されてきました。
今回も、会議中のティーブレイクの際、「来年=2024年3月に東京で開催されるバイオロギングシンポジウムでも新しい発表をするから、そこでまた会いましょう‼️」といった会話が、あちこちで交わされていました。
というわけで、75題の口頭発表の内、20題以上で、なんらかの形でバイオロギングが活用されていました。中でも、聴衆の反応が大きかったのは、次のような「ビデオロガーによる動画」でした。
①、フェゴ島周辺のコロニーで繁殖するキングペンギンにビデオロガーを装着して得られた動画 : ◇カツオに噛みつく様子、◇死んで水中を漂っている魚を食べる様子、◇海底の小石を拾い上げて呑み込む様子。・・・特に、海底の小石を拾い上げて呑み込む行動は、初めて動画映像で確認されたもので、非常に貴重です。
②、フンボルトペンギンが十数羽の群れで海中を進みながら、海底で小魚を捕食したり、クラゲを食べたりする様子。ペンギンがクラゲを食べる行動は、すでにビデオロガーで記録されていましたが、様々なペンギンで確認されるようになってきました。
③、ガラパゴスペンギンの親鳥が巣立ち後のヒナたちに給餌する様子 : 「巣立ち後のヒナに親鳥が給餌する」行動は、飼育下では様々な種で観察されていますが、野生個体群ではジェンツーペンギンだけで確認されていました。