まず、1月22日(土)午後1時過ぎ、九州・四国を中心に最大震度「5強」の地震が発生し、広範囲に被害が広がりました。この地震で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。「うみたまご」では、駐車場に被害があったとのことですが、スタッフの皆様や主な施設はご無事だとの連絡をいただいております。その他、九州各地の動物飼育・展示施設も、ご無事だとのことです。今後の余震や、雨などによる二次的な被害に、くれぐれもお気をつけ下さいませ。
次に、南米のペルーで発生した「原油流出事故」が、大きな問題となっています。1月23日(日)現在で伝えられている状況を、「ワシントン・ポスト」、「CNN」、南米の専門家からの情報を中心に、経過に沿ってまとめてみます。
①、原油流出の原因 : トンガ周辺の海底火山の大噴火の結果発生した「空震」にともなう「津波と高波」が、ペルーの太平洋岸を襲ったためだと考えられています。
②、「原油流出事故」発生 : 1月15日(土)
③、「原油流出事故」発生場所 : ペルーの首都=リマ西部に位置する ラ・パンピラ港内。ちなみに、ラ・パンピラ港には、ペルー最大の製油所があります。
④、流出事故の発生状況 : ラ・パンピラ港で、イタリア船籍のタンカーが原油の積み降ろし作業をしていたところ、積み降ろしで使用していたパイプラインから原油が流出し、タンカー周辺の海面に大量の原油が浮かんだため、直ちにパイプラインのバルブを閉めました。その時までに、約6000バレルの原油が流出したと考えられています。流出した原油が、津波や高波の影響を受けて、ラ・パンピラ港外に流出し拡散されたようです。
⑤、原油の積み降ろしを管理しているスペインの石油会社「レプソル」の見解とペルー政府の見解の相違 : そもそも原油積み降ろし用のパイプラインの破損そのものが「トンガでの海底火山噴火による津波・高波」によるもの、という見解をレプソル側は持っています。また、「津波・高波」に関する警報をペルー政府が発令していなかったことも、レプソルの主張の背景となっているようです。ちなみに、当時、チリとエクアドルでは、津波警報が発令されていました。ペルー政府は、これに対して、「レプソル側の管理責任」を主張しています。
⑥、流出事故翌日=1月16日(日)の状況 : レプソル側は「流出原油」の拡散は限定的と主張しました。しかし、15日(土)にヘリコプターで空から流出状況を視察した ペドロ・カスティーロ 大統領は、今回の流出事故が「近年南米で発生した最大級の原油流出事故」だと発言し、被害状況を発表しました。流出原油は、ラ・パンピラ港周辺の海域数十平方キロメートルに拡散し、21ヵ所の海岸に漂着していることが確認されました。
⑦、1月20日(木) : カスティーロ大統領は「危機管理委員会」を召集しました。
⑧、レプソル側は、1月21日(金)までに、840人の人員を動員して、総延長 およそ2400メートルのオイルフェンスを設置し、数百トンの流出原油を回収したと発表しました。
⑨、この間、ペルー政府の関係各部局は、原油汚染海岸への立ち入り禁止措置、原油汚染された2つの保護区=「アンション保護区」、「ペスカドレス諸島」での被害動物の現状調査と救護活動とを進めました。一方、地元の環境保全NPOは、原油汚染されたフンボルトペンギンを含む数種類の海鳥、オットセイ、イルカを救護する活動を進めています。
⑩、1月22日(土) : カスティーロ大統領は、「90日間の環境非常事態宣言」を発令しました。
⑪、原油汚染地域で現在懸念されていること : 海岸汚染や動物への被害だけでなく、漁業活動への被害が深刻化しています。ペルーは、世界的にも重要な水産国です。首都周辺の海域が広範囲に汚染されたため、ペルーの主産業の1つ、漁業が大きな打撃を受ける可能性が出てきています。
以上が、1月15日(土)以降、ペルーで発生した「原油流出事故」に関する経緯です。トンガの状況を含め、今後の経緯について、ご報告して参ります。皆様も、各種情報に耳を傾けていただければと考えております。