まず、著者のラインナップが迫力満点です(^○^)!!沖縄美ら海水族館名誉館長の内田詮三氏、鴨川シーワールド館長であり日本動物園水族館協会会長でもある荒井一利氏、さらに大阪海遊館館長の西田清徳氏。この顔ぶれで「水族館のこと」が語られると、その重みは測り知れません。
次に、本書では、従来軽視され、あるいは無視されてきた「鯨類・鰭脚類・海鳥類・水生爬虫類」についても、「近代水族館を語るとき、これらのグループも当然取り上げるべき水族である」と評価して、これらの動物についてもかなりのスペースを割いて分析されています。
現代の動物園や水族館は、日々様々な形に変容し、進化しています。園館の研究が、現実に即した視点で進められるべきだということは、これまでもこのブックレビューで強調して参りましたが、本書はそのような柔軟な視点を特長としています。
また、荒井一利氏が執筆された「第3章鳥類」の最初には「ペンギン」が登場します。それだけでなく、ペンギン会議のことや、かつてペンギン会議で翻訳・出版した『ペンギン大百科』(平凡社)のことが紹介され、高い評価をいただきました。大変名誉なことと感謝申し上げます!!一方で、責任の重さを改めて痛感しております。
さらに、優れたペンギン飼育施設として、長崎ペンギン水族館や下関市立しものせき水族館(海響館)だけでなく、旭山動物園や埼玉県こども動物自然公園(ペンギンヒルズ)が紹介・分析されています。水族館をメインテーマとする本書ですが、動物園にも視野を拡げて分析する姿勢は、今後の園館学にとって極めて重要な視点だと考えます。
本書が、これから日本の園館学に、あるいは動物園や水族館への基本的分析・研究姿勢にどのような影響を及ぼすのか?注目していきたいと思います。