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「ペンギンブックス」のペンギンの謎

2010 年 6 月 11 日 金曜日

「ペンギンブックス」と言えば、「ペーパーバック」のこと。「ペンギンブックス」は文庫、新書の代名詞。そう言っても過言ではない。

最近、「ぺものオタク」の新しいバイブルと呼んでもいいような本が出た!『ペンギンブックスのデザイン 1935-2005:ペンギンブックスの魅力的な表紙のひみつ』(フィル・ベインズ著、山本太郎監修、齋藤慎子翻訳、2010年3月31日刊)である。原本は、2005年に出ていたが、やっと日本語版が出たので、デザイン関係のいろいろな業界用語や歴史的・人間的背景がわかるようになった。とてもありがたい。

ペンギンブックスのデザイン 1935-2005:ペンギンブックスの魅力的な表紙のひみつ

『「ペンギン」が1935年に初めてペーパーバックを世に出して以来、その表紙は絶えず、英国文化とデザイン史の進化の一端を担ってきた。』

「ペンギンブックスの表紙とそこに受け継がれてきた豊かで多彩なデザインの壮大な物語」と題する表紙カバー見返り部分の「解説」が語るように、この本は、「ペンギンブックスのデザイン史とその史料集」だ。だから、とても読みやすく翻訳されてはいるが、内容は、詳しく特殊で専門性が高い「現代ブックデザイン史」。だから、ちょっと斜め読みする、というような「軽い読み物」ではない。なんせ、巻末の史料まで含めると255ページもある。

とはいえ、収録されている多数の表紙写真やポスターの写真を眺めているだけでも、とても楽しい。本好き、読書好きにとっては、たまらない「写真集」としても楽しめる。

特に、ぺもの堂店主としては、巻末の「参考文献」や「ロゴの移り変わり 1935-2005」はたまりません!48種類のロゴがギッシリ貼りつけられた見開きページには、眼が釘付けになった。

ロゴの移り変わり 1935-2005

実は、「ペンギンブックス」のロゴは、実に千差万別で、様々なバリエーションがある。どのロゴが、何に、いつからいつまで使われていたのか?これまでは、これが大きな謎の1つだった。このページで全ての謎が解けるわけではないが、大体の絞り込みが可能になった。

例えば、ぺもの堂にあるこの「ペンギンブックスペンギン」。20年くらい前に入手したもの(販促用のグッズで胸の部分がユニオンジャックになっている)。入手時点ですでに「古びていた」から、いったいいつ頃のものか、判断がつかなかった。

ペンギンブックスペンギン

慎重確認の結果、1949年か1987年のものである可能性が高まった。

様々な「ぺもの」には、おのおの「誕生の背景」や「進化の過程」がある。その経過を読み取る、あるいは調べ、追いかけることで見えてくるのは、単なる「カワイイペンギン」ではない。そこには、「ペンギンをめぐる多くの人々の思いと人生」が刻まれている。そして時代の空気も封じ込まれている。

コメント / トラックバック 2 件

  1. 太田耕二 より:

    久しぶりです、すてきな書評ですね、伝えときます、訳した人20年前から友達でスペインの旅ではたいへんおせわになったかたです、よろしく。

  2. 上田一生 より:

    太田耕二 様
    こちらこそ、ご無沙汰して申し訳ございませんでした_(._.)_!!コメント、ありがとうございます!世の中は、本当に狭いですねぇ!!この素晴らしい「ペンギン本」を訳されたご友人に、くれぐれもよろしくお伝え下さい_(._.)_!!

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