南極南大洋連合(ASOC)の関根様からいただいた「ロス海保全に関する科学者署名運動」についての追加情報です(^o^)/

2011 年 10 月 7 日 金曜日

10月1日のブログで、標題の件についての第1報をご紹介致しました(^○^)!!まだ、それをお読みになっていらっしゃらない方は、まずはそちらに目を通していただければ幸いです。

その後、ASOCの関根様から送っていただいた印刷資料を拝読しましたので、もう少し詳しく、この署名活動のねらいと意義についてお話しようと思います。

南極南大洋連合(ASOC)「ロス海保全に関する科学者署名運動」について1 南極南大洋連合(ASOC)「ロス海保全に関する科学者署名運動」について2 南極南大洋連合(ASOC)「ロス海保全に関する科学者署名運動」について3 南極南大洋連合(ASOC)「ロス海保全に関する科学者署名運動」について4

まず、今回の声明文の正式名称は「ロス海保全に関する科学者の声明」といいます。声明そのものは、2010年6月14日に公開されました。声明の趣旨は、「ロス海には様々な意味で地球規模の重要性があるので、全面的な保護が不可欠である」こと。その共通認識に立脚して「生物多様性条約(CBD)の全ての署名国に対して、収奪的な利用を許さずかつその他の人為的な脅威もない、または最小限である代表的な海洋および沿岸域を含む、よく管理された海域のネットワークを2012年までに確立する」こと。この2点を求めています。

このような保全体勢が整わなければ、ロス海の環境や地球規模での価値が、年々破壊され侵食されていく。声明を提唱した科学者達は、そういう深刻な事態を心配しているのです。

ペンギンに例をとれば、ロス海には188万羽のアデリーペンギン(全アデリーの38%)の繁殖地があり、また、104000羽のエンペラーペンギン(全エンペラーの26%)の繁殖地があります。さらに詳細な情報とデータは、現代ペンギン研究のパイオニアの1人で世界的に著名なペンギン学者でもあるDr.David Ainleyのサイト(dainly@penguinscience)をご覧下さい。

ちなみにエインリー博士は、すでに50年以上(!!)にわたる南極でのペンギン研究実績がある「大ベテラン」で、世界中のペンギン学者の憧れ=お手本のような方です。当然、論文、著書も非常に多く、この方の論文に目を通さずにペンギンを語ることはできない、といっても良いくらい「基本的研究成果」をあげていらっしゃいます。

関根様からいただいた「署名科学者リスト」によれば、ペンギン会議顧問であるワシントン大学のディー・ボースマ博士(専門はペンギン保全生物学)をはじめ、国際ペンギン会議のリーダー的な研究者のほとんどが名を連ねています。また、日本人研究者も、国立極地研究所やバイオロギング関係の方々が、すでに何人も署名されています。

私も、ロス海をウロウロした人間の一人として、この南の大洋=「地球に残された最後の野生の大洋」の素晴らしさ、かけがえのなさについては、身にしみて理解しているつもりです(詳しくは上田の近著=『ペンギンのしらべかた』岩波書店のプロローグ〜第1章参照)。地球温暖化の深刻化だけでなく、この海域に及ぼす人間活動のインパクトについては、様々な視点から総合的な観察・監視の目を確立し維持していかなければなりません。

この声明への「賛同署名者」が、さらにさらに増えていき、この声明の趣旨が世界中で広く理解されることを。そして、「ロス海のもつ意義と重要性」とに関するグローバルな共通認識が、1日も早く確立されることを。心から祈っております!!

関根様、今後とも、関連情報のご提供を何卒よろしくお願い申し上げます!また、ご活動のご進展、ご成功をお祈りしております(^○^)!!

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